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市長随想

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新潟県柏崎市

■ハイシャの論理
市長 櫻井雅浩

虫の音(ね)が聞こえる。コオロギやクツワムシ、鈴虫。合唱というほどのハーモニーはない。だが、耳を澄ます。いつも思うのだが、やはり少し悲しげである。
コナラの木はたくましい。夏前に剪定(せんてい)し、真夏に新芽を出した。さすがに元気がなかったが、このところの雨で色が良くなってきた。あとひと月もすれば落葉の季節なのに、みな短い命を育み、その責任を果たす。
その昔「市会(シカイ)議員の櫻井です」とごあいさつしたところ「歯医者さん?知らないわ」と言われたことがある。今や歯科医の皆さんには、児童生徒の学校健診、成人の歯周病検診など大変お世話になっている。「歯の健康は体の健康」とご指導を賜っている。本当にありがとうございます。
さて、私自身も何度か「敗者」を経験している。たぶん多くの方がその経験をしていらっしゃると思うのだが、自分自身よりも身近な人間、周りの方々が悲しむ姿を見ることが辛い。身に染みている。負けてしまえば、どうしようもない。確かにそうである。ただ、勝っても負けても失うもののほうが多いように感じる時もある。
世の中は「光る君」モードだが、私はずうっと「平家物語」派である。ご存じの通り「源氏物語」は源頼朝の話ではなく、平安の世、架空の「光源氏」の話である。片や中世、平清盛はじめ3代の栄華と破滅の物語である。「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」「盛者必衰の理」を説き、日本人の琴線に触れる。負けの文学である。
清盛は初めて武士による政権を樹立、外国との交易に努め、財政基盤を強化、通貨経済の発展にも寄与したといわれている。
先日、久しぶりに北条毛利の城山に登ってきた。「平家物語」から300年ほど下った1500年代、毛利氏が勝者であったのか敗者であったのかは不勉強故、承知していない。いずれにせよ遠い後の世の産附の勝利を報告してきた。

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