■合唱
市長 櫻井雅浩
それぞれの月には四季を表す枕ことばが付くこともあろうが「風薫る五月」ほど私たち日本人の感覚にピッタリとくるものはないのではないか。
春、初夏の山中にも芳香が放たれている。酸っぱいような香りである。ツクシやショウジョウバカマなど比較的群落を作る草花由来かと思っていた。専門家によれば落ち葉が太陽で温められ、発酵するときの香りかもしれない、という。針葉樹、落葉樹、下草、その地域の植生が複雑に絡み合い、発した揮発性有機化合物、ということになるらしいのだ。少し情緒的に言えば調和したものであろうといわれている。文末の写真は、どちらかというと日差しが苦手なフッキソウと日なたを好むタチツボスミレが同居している様子である。
調和、ハーモニー。古代ギリシア語、ラテン語harmoniaを語源とすると言われている。満天の星空を見上げたギリシア人が、多くの星がぶつからずに存在している様子を表現したものだともいう。
さて、先日、鯖石小学校と高柳小学校の統合式が開かれた。結びは校歌斉唱。校歌は合唱曲であった。パートに分かれ、合唱ができるんだ!私は驚き、そして感動した。
さまざまな曲折を経て、統合に至り、両校の子どもたちが声を合わせ、心を合わせ合唱している。私は安堵(あんど)した。かわいらしい、そして美しいハーモニーであった。
児童代表のあいさつも立派で「僕は先頭に立って大きな声であいさつをしたいと思います」と両校出身者が仲良く進むことの決意を述べた。
私は「黒姫から流れ出た水、八石から流れ出た水、合わせ鯖石の水となります」と話した。まさに新たなハーモニーが生まれ、子どもたちの可能性がより大きなものとなることを確信した。会場には地域の皆さまの温かな気持ちがあふれ、外はうららかな日差しが降り注いでいた。
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