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市長随想

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新潟県柏崎市

■塩と砂糖とホトトギス
市長 櫻井雅浩

ウチの裏にある小さな森(妻は大きなやぶと呼んでいる)にはコナラの木が2本あり、多くの二酸化炭素を回収し、酸素を提供している。いろいろな鳥もやってくる。
「ねえ、今日は網戸にメジロが止まったよ。ウグイスが一日ずうっと鳴いていたわ。お嫁さんまだ見つからないのかしら?」
ウグイスの「ホーホケキョ」はホーは吸う息、ホケキョは吐く息、と聞いている。私の鳴き声は最近、吐く息「はーあ」が多く、30年ほど前に見つけたお嫁さん、妻には「他の鳴き声は無いの!」と言われている。確かに「はーあ」ではお嫁さんどころか、何も導かない。「よしっ!」と気持ちを入れ替えることとした。
効果てきめん?ハチがやってきた。コナラの葉から分泌する甘い樹液を求めてなのだろう。ハチは刺激しなければ人を襲ってくることはない。
そのハチはコナラと共に植えてある我が家の梅の木、新潟特産「藤五郎」の受粉を助けてくれた。今年は豊作だ。梅干しと梅酒になる。梅は中国原産。1500年ほど前に薬である「烏梅」を遣唐使が持ち帰ったことが始まりだと聞いている。字のごとく未熟な梅を燻製にしてカラスのように黒くしたものだという。解毒や傷の手当てなどに用いていたらしい。
ご存じの通り梅干しには塩を使い、梅酒には氷砂糖を使う。それぞれ、梅酢、芳香、エキスを導く。私は甘いものも塩辛いものも好きなのだが、私からは何が抽出されているのだろうか。随分燻されて黒くなっているが、さすがに薬になっているとは自分でも思えない。いい「塩梅」を知らぬ私からは毒も出ているのかもしれぬが、少しはお役に立つものも出ていることを願う。
夏の鳥は古来ホトトギスと決まっている。時を知らせる鳥、時鳥とも書く。鳴き声は「特許許可局」などと表現される。いずれにせよ我が森にはまだ許可も下りず、時鳥も来ていない。「よしっ!」とまた気合を入れよう。

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