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市長随想

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新潟県柏崎市

■ヒトとイノシシの交差点
市長 櫻井雅浩

「柏崎市長、イノシシに襲われる」とか「クマと格闘」とか、見出しをつけられないよう準備、防備し、冬の里山を歩く。ジョウビタキだろうか、チーチー、と鳴く声以外音のない世界である。ウサギ、カモシカ、イノシシ、それぞれの営みや行動が足跡となって雪に残っている。
ヒトはワッパ(かんじき)を着け歩くのだが、雪山で消耗するエネルギーは格段である。無雪期の山を3千m歩いても大したことはないが、新雪の100mはかなりのものである。
さて、ヒトの次に大きな足跡というか、体跡?はイノシシである。彼(彼女)らは足が短く、腹をこすりながら雪上を歩くからである。猟師たちはそれをたどり、獲物を見つける。
私は今から34年前に柏崎に戻ったが、その頃イノシシの話など聞かなかった。温暖化、小雪化でその生息域を北上させ、足の短いイノシシが柏崎でも生き延びることができるようになってきたといわれている。
その料理も関西などでは昔からボタン鍋などで有名であり、身近であったことが分かる。柏崎ではその文化はなかった。冬の味覚はタラ・アンコウ鍋、その昔はタヌキ・ウサギ汁といったところであった。
柏崎でもイノシシのようなヒト、タヌキおやじと呼ばれるヒトは昔からいるが、イノシシそのものの出没、被害は20年ほど前からではないか。近年甚大である。
海川でも異常が続いている。海水温が上がり、サワラ、シイラなど暖かい海の魚が取れるようになり、ホッケが取れず、村上や谷根川のサケは遡上数が激減している。
山中には「ワナ設置! 注意!」と書かれた標識がある。残念ながらやつらはかかっていない(字が読めるようになっているのである?)。時にヒトとイノシシは並行して同じ方向へ足跡を付けることもあれば、横切ることもある。一時停止など交通標識が必要なのはやはりヒトなのだろう。

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