■サルコペニア(筋肉減少症)
サルコペニアとは、高齢になるに伴い筋肉の量が減少していく老化現象のことです。サルコペニアを放っておくと、歩くのが困難になり、最終的には日常で自立した生活ができなくなってしまいます。サルコペニアの人はどのくらいいるのでしょうか。十年後調査票で、サルコペニアを推定する質問項目(「4.5kgくらいのものを持ち上げたり運んだりするのはどのくらいむずかしいですか?」などの5項目)を加えましたので、その結果を示します(図4)。サルコペニアは六十歳代から急に増えることがわかります。また、男性に比べて女性で多く、七十歳代の女性の約三割はサルコペニアが疑われます。
不活発がサルコペニアの主な原因の一つであることは確かですが、それ以外の要因についてはよくわかっていません。そこで、私たちのグループは、コホート調査参加者の一部の約二千人の方々のご協力を得て、2021年と2022年に筋肉量検査(インピーダンス検査[写真])を行い、サルコペニアを予防する方法を探る研究を行いました。近い将来、その研究成果を報告できるものと期待しています。
※写真は本紙またはPDF版に掲載されています。
■午睡(昼寝)について
私たちが以前小千谷市で行った認知機能調査で、短時間の昼寝が認知機能を維持する効果を見つけました。具体的には高齢者の五年間の認知機能の変化を調べたところ、三十分未満の昼寝の習慣のある人は、昼寝をしない人よりも認知機能の低下する人が少なかったです(図5、五十パーセント減)。
そこで、今回の十年後調査で昼寝の習慣を尋ねました(村上市調査のみ)。そうしたら、三分の二の高齢者は昼寝の習慣があり、その半分くらいは三十分未満の昼寝でした(図6)。短い昼寝が認知症予防に役立つかもしれません。
■おわりに
私たちは健康コホート調査の成果を継続して発信しています。健康コホート調査のホームページ(【HP】http://www.med.niigata-u.ac.jp/hyg/murakami/index.html)をご覧ください。
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