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健康講座(220)

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新潟県関川村

■右下腹部の治療
坂町病院 外科 富田 広

右の下腹が痛くなると、「もしかしたらモーチョー(急性虫垂炎)になったのではないか?」とお考えになる方が多いのではないでしょうか。坂町病院外科には他の医療機関や坂町病院内科から右下腹部痛を訴える患者さんが「虫垂炎疑い」とのことで多数紹介されてきます。外科に受診するとなると「もしかしたら手術をされてしまうのではないか」と心配して来られる患者さんが多いようです。

しかし、右下腹部痛の患者さんで本当に急性虫垂炎であったというのは2割程度であり、他の8割は憩室炎、急性腸炎、尿管結石といった虫垂炎以外の病気です。女性であれば子宮や卵巣の病気ということもあります。昭和の頃は腹痛の原因を診断する良い検査方法が無かったため、「疑わしきは切る」という方針で、虫垂炎でなくても緊急手術となり、右下腹部にある虫垂を切り取る手術が行われていました。現在はCTの性能が向上し、内臓の状態がよくわかるようになり、さらに医師の画像を読み取る能力も向上することにより腹痛の原因がはっきりとわかるようになっています。虫垂炎以外の病気はほとんどが薬による治療で治すことが可能です。虫垂炎の場合ですと以前は診断が確定した時点で即日入院、即日手術という治療法が行われていました。しかし、現在は「抗生物質」という虫垂で増殖した細菌を退治する薬の進歩により、手術を行わなくても薬で治すことが可能となっています。(世間では「散らす」などと呼ばれています)そのため「なるべく手術は行わず、薬で治す」という方針で治療が行われています。虫垂の中に石が出来ている場合、繰り返す場合、薬ではどうしても治らない場合のみ手術をする方針となっております。仮に虫垂に穴があいてしまい、腹の中に膿を持っていても、手術をせずに薬で治せることも多いです。

つまり右下腹部痛であっても、急性虫垂炎であることは少なく、さらに急性虫垂炎であっても、手術が必要になることは少ないということです。右下腹部痛のほとんどが内科で治せる病気なのです。しかし、未だに「右下腹部痛=急性虫垂炎=外科で手術」という認識を持った医師が多いため、外科に紹介されることが多いのです。外科に紹介されたとしても必ずしも手術をされるというわけではありません。

*このコーナーへのお問い合わせは、県立坂町病院へ。

問合せ:
【電話】62-3111

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