■アレルギー児保護者への指導
坂町病院 小児科
今田 研生
日常診療で良く遭遇する小児のアレルギー疾患には気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、食物アレルギーなどがあります。
以前は、気管支喘息の子どもが多くを占めていましたが、最近はアトピー性皮膚炎や食物アレルギーの子どもが目立ちます。また、それらのいくつかを合併している子も多く見られます。初診時には医師が診断や治療内容などを保護者にひと通り説明しますが、より細かく具体的に指導するには、限られた診療時間では不十分です。
現在小児アレルギーエデュケーター(PAE)という資格があります。これは一般社団法人日本小児臨床アレルギー学会が認定するもので、アレルギー児をもつ保護者に専門的な指導をする医療従事者に与えられる資格で、職種には看護師、薬剤師、管理栄養士があり、試験を受けて合格しなければ取得できません。当院看護師の中にもその資格を目指しているスタッフがおり、外来において、気管支喘息治療で使用する吸入器の正しい使用方法や診断に用いるピークフローメーターの手技指導など、アレルギー性鼻炎児の内服薬怠薬の有無確認、アトピー性皮膚炎児に対するスキンケアや適切な軟膏塗布方法の指導、食物アレルギー児の除去食や代替食の助言やアナフィラキシー時のアドレナリン自己注射(エピペン)の使用方法などが正確に理解できるように時間をかけて丁寧に説明指導することを心がけてもらっています。
また、定期通院中の児でも適切な治療を継続するためには、根気強く何回も手技の再確認をする必要があります。初診時から時間が経つと手技がおざなりや自己流になってしまいがちですから、タイミングをみて再確認して治療効果が十分発揮できるように指導してもらっています。このように、期待した治療効果が見られない場合は安易に治療強度を上げていくのではなく、不十分な治療になっていないかを適宜確かめることが、過剰な治療にならないために重要なことです。それは、アレルギー疾患以外のどのような疾患についても言えます。さらに小児科においては、日常診療での指導は当事者である子ども本人よりも保護者である家族への指導が、より重要な場合が多いことは言うまでもありません。
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