◇食 目標は30年後も畑を残すこと「ミズとうきょう農業」としても活動
・梅村 桂さん 日野市
――なぜ多摩エリアで農業を始めたのですか?
以前地方で農業に関わっていた時は、収穫してからお客様のところに届くまで1~2週間くらいかかることもあり、鮮度が落ちてしまうことが悩みでした。そこで、より消費地に近い場所で農業を始めたいと思い、独立を決意したんです。複数の候補地を比較するなかで、実家があり慣れ親しんだ土地である日野市で「ネイバーズファーム」を始めました。ここは、私もお気に入りの遊歩道やサイクリングロードが近くにあって散歩をしている人が多く、日常的にコミュニケーションがとれるところが気に入っています。
――日野市で農業を続けていて良かったことは?
ボランティアさんが毎日来てくださって、地域の方と一緒に農作業ができること。また、5~6年前に初めて野菜を収穫した時、畑の前にテーブルを設置して現地販売をしたのですが、近所の方がたくさん買いに来てくださいました。応援していただいていることを実感できて嬉しかったです。旬の野菜を直接手に取ってもらい、一番美味しい採れたての状態で食べていただく。この距離の近さが、まさに理想だったんです。私自身も一消費者として多摩産の食材をよく買いますが、野菜はもちろん果物も本当にみずみずしくて美味しいんです。機会があったらぜひ食べてみてください。
――特にオススメの野菜や果物はありますか?
日野は梨も有名ですし、トマトがすごくオススメです。特にファーストトマトは今流行の甘いトマトではなく、少しとんがった形の昔ながら品種で、先輩方が愛情を込めて育てています。別の設備が必要なので私のところでは作っていないのですが、農家さんも減少傾向にあるのでいつか継承したいですね。
――いつか継承したいという話が出ましたが、今後の目標は?
30年後もこの畑を残すことです。個人的に、畑は町の風景の一角を担うと思っています。春になったら菜の花が咲いて、夏には初夏に植付けした作物が青々と育ち、旬がくれば色づいて畑を彩る。そういった変化から四季を感じるだけでも生活が豊かになって、野菜もより一層美味しく感じられると思います。東京でこんな日々を過ごせるのは多摩エリアの大きな魅力だと思うので、そういう景色を守っていきたいですね。
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