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東京の伝統工芸の一部をご紹介します!
■江戸木版画(えどもくはんが)
江戸大衆メディアとして人々に愛された浮世絵。下絵を描く絵師(えし)と版木(はんぎ)を彫(ほ)る彫師(ほりし)、多色摺(ず)りを行う摺師(すりし)、そのプロデューサーである版元(はんもと)によって生み出される芸術は、木版画の最高峰の一つ。1月から放送中の大河ドラマでは、浮世絵の版元として活躍した蔦屋重三郎が主人公です。
●数枚の版木で数十色もの色を表現
彫師が形を作り、摺師が絵にします。摺師は、版木の上でグラデーションを表現するなど、数枚の版木で多彩な色を作ります。版木は高価な山桜の木を用いるため、色版は両面を使用します。
▽彫り
彫師は、絵師の原画を写した版木を、色を付けるところだけを残して彫り進める。版木は色数ごとに必要になるため、作品によって5~20枚の版木を作成する。
▽摺り
版木に筆とブラシを使って顔料をなじませ、和紙に摺っていく。最初に作品の輪郭線となる主版(おもはん)を墨で摺った後、色版を1色ずつ摺り重ねていく。
摺師によるばれん運びの絶妙な力加減が重要なポイントとなる。和紙を置く際、版に彫られた「見当」に合わせることで、多色摺りが可能に。
・東洲斎写楽「三代目大谷鬼次(さんだいめおおたにおにじ)の江戸兵衛(えどべえ)」
・喜多川歌麿「五人美人愛敬競(ごにんびじんあいきょうくらべ)」
◎職人の仕事を支える道具
絵具:天然の鉱物や植物などから採取される顔料を中心に使用します。摺師は墨のほか、赤・青・黄を基本に顔料を混ぜ合わせ、目的の色を作ります。
ばれん:絵具を和紙へうつし取るための摺り道具。構造は、当皮(あてがわ)、ばれん芯、竹皮(たけがわ)に分けられ、摺師は、摺る箇所や技法によって、ばれんを使い分けます。
《豆知識》
浮世絵には、作品に隠された意味を導き出す「判じ絵」が描かれているものがあります。例えば、上の歌麿の絵にある「判じ絵」からはモデルとなった女性が所属する屋号と女性の名前がわかります。
・八つの山
・平椀
・野原
・矢
↓
八ツ山平野屋
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