中央区長
(やまもとたいと)
8月15日、79回目の終戦記念日を迎えます。太平洋戦争へと突入していった1941年の日本。4年後の1945年8月、広島と長崎に原子爆弾が投下され終戦となりました。この間、人々は戦禍に巻き込まれ、平穏な暮らしと数多くの尊い命が失われました。
日本で3月末に公開された映画「オッペンハイマー」を拝見しました。この映画は、第二次世界大戦下のアメリカで、原子爆弾の開発計画である「マンハッタン計画」を指揮した理論物理学者ロバート・オッペンハイマーを題材とした映画で、原爆開発の過程や、原爆投下による被爆地の惨状を知ったオッペンハイマーの苦悩が描かれています。また、オッペンハイマーが終戦から19年後に被爆者とアメリカで面会した際に、涙を流しながらごめんなさいと繰り返し謝った、と立ち会った通訳が証言している映像資料が見つかったことがテレビや新聞などで報道されました。この涙は、科学が誤って使われることになってしまったことに対する悔恨の涙だったのではないでしょうか。
私たちは世界で唯一の被爆国となったことで、戦争は一瞬にして全てを奪い去るものであり二度と繰り返してはならない、という強い決意を持ちました。しかし、残念なことに、その後も世界では幾度となく紛争が繰り返されています。ロシアのウクライナ侵攻に加え、イスラエルとパレスチナによる対立も長期化し、子どもたちを含む尊い命が危機的状況にさらされていることに、この上ない憤りを感じます。
誰もが平和で心豊かに暮らせる世の中を実現し、平和の尊さを次世代に継承していくことは私たちの責務です。終戦の日を前に、今一度「中央区平和都市宣言」を胸に刻み、平和の大切さ、尊さを訴え続けてまいります。
■中央区平和都市宣言
いまいちどたちどまり
平和の尊さをみつめよう
ささやかな幸せも
こよなき繁栄も
平和の光が消えたなら
すべてが失われる
私たちの手にあるこの輝きを
明日の世代に伝えよう
一九八八年三月一五日
この日 私たちは
永遠の平和を願い
中央区が平和都市で
あることを宣言する
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