文字サイズ
自治体の皆さまへ

区長 所信を表明(1)

1/48

東京都中央区

山本区長は、2月25日に開会された令和7年第一回中央区議会定例会で、区政運営について所信を述べました。その全文を紹介します。

中央区長 山本泰人(やまもとたいと)

本日、ここに令和7年第一回中央区議会定例会の開会に当たり、私の所信の一端を申し述べ、区議会ならびに区民皆さま方のご理解とご協力をお願い申し上げます。

所信表明に先立ち、昨年10月5日、永眠されました矢田美英前中央区長に対し、謹んで哀悼の意を表します。矢田様は、昭和62年4月、中央区長に就任されて以来、実に8期32年にわたり、区政を担われました。「人集まらずして繁栄なし」を合言葉に、住環境の整備などを通じて、定住人口の回復と快適な都心居住のまちづくりに尽力されました。

「輝く未来に橋をかける―人が集まる粋なまち」、基本構想に掲げられた将来像とその理念を区行政でしっかりと受け止め、基本計画2023に示した10年後の中央区の姿を実現するため、これまでの施策をさらに発展させてまいります。

本区の定住人口は、都市機能と景観が融合した都市基盤づくりや区民福祉の向上に向けた総合的な取り組みが実を結び、引き続き力強いペースで増加しています。晴海フラッグへの入居開始を背景に、この1年間で人口は1万569人増え、本年1月には18万7,404人と過去最大を記録しました。全国的に少子化が進む中、本区は年間2千人規模の出生数を維持し、合計特殊出生率は7年連続で23区トップとなっています。このことは、本区が子育て世代にとって魅力的なまちであることを示すものと考えております。一方で、定住人口の増加に伴い、教育環境の整備や子育て支援の充実、多様な世代が交流できる機会の創出など、さまざまな課題も生じているところです。20万都市に向け、こうした課題に積極的に取り組み、江戸開府以来の長い伝統と歴史を背景に、全ての区民の皆さまがまちに愛着を持ち、住み続けたいと思える中央区を目指してまいります。

さて、昨年元日に発生した能登半島地震から1年余りが経過しました。9月に発生した集中豪雨による影響も加わり、いまだ復興は道半ばであり、引き続き全国的な支援が必要な状況にあります。本区もその共助の一員として支援を継続してゆく所存です。本年は阪神・淡路大震災から30年を迎えました。都市部における直下型地震がもたらした被害は大きな衝撃を与えるとともに、この30年の間に日本各地で発生した、東日本大震災を含む大地震は、さまざまな教訓をもたらしました。本区においても、日頃からの備えが重要であるとの認識から、継続的な防災訓練の実施による区民の意識の向上や防災インフラの整備・強化など、災害への対策を拡充してまいりました。いつ、どこで、発生するか分からない大地震は、私たちの生活を一瞬にして奪い、地域社会に大きな傷痕を残します。地震発生を未然に防ぐことはできませんが、一人一人が地震に備えて行動することはできます。防災対策に終わりはありません。今後もさらに対策を充実させ、地域防災力の一層の強化や防災意識のさらなる向上を図るための取り組みを着実に進めてまいります。

また、令和7年は戦後80年の節目となります。日本が平和な国として発展できたのは、多くの先人と国民一人一人の努力があったからこそであります。一方で世界に目を向けると、ロシアのウクライナ侵攻はいまだ収束が見通せず、そのさなかに始まったパレスチナ・ガザ地区での紛争はようやく停戦合意が結ばれたものの、和平の実現には引き続き多大な努力が必要です。この80年の間にも世界各地では大小さまざまな紛争が絶えず、今、国際秩序が大きく揺らいでいます。しかしながら、このような危機的な状況だからこそ、平和を希求する思いが世界中に広がっていることも見逃してはなりません。わが国の日本原水爆被害者団体協議会が2024年のノーベル平和賞を受賞したことは、その表れでありましょう。戦後80年という節目を迎え、改めて「中央区平和都市宣言」の理念を胸に刻み、恒久平和の実現を願い、各種施策に取り組んでまいります。
そして、新型コロナウイルス感染症の流行を経て、私たちの生活環境は大きな変化の途上にあります。エネルギー価格の高騰を背景とした物価上昇は、企業の経済活動に影響を及ぼすだけでなく、食料品や日用品の価格を押し上げ、家計に深刻な負担をもたらしています。こうした状況を踏まえ、区民の皆さまの不安を解消するため、物価対策にしっかりと取り組んでまいります。
昨今の円安等の影響により、外国人観光客が増加し、地域経済の活性化に寄与している一方、インバウンド需要に対応するためのインフラ整備やごみ問題などが課題となっています。さらに、本年は「世界陸上」や「デフリンピック」などの国際大会が都内で開催される予定であり、多くの外国人観光客が本区を訪れることが見込まれます。このため、地域と連携しながら区民の生活環境との両立・調和を図り、適切な対策を講じる必要があります。
また、外国人住民の方々も増加傾向にあり、多文化共生のまちづくりを推進することも重要です。区民の皆さまが安全・安心で豊かに暮らし続けられるよう、地域経済の持続的な発展、生活の質の向上、そしてまちのにぎわいの創出に向け、総合的な視点で取り組んでいかねばなりません。

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU