障害のある方との働き方について悩んだことはありませんか。障害の特性を知り、少し工夫をするだけで、お互いに仕事がしやすくなります。
障害のある方もない方も、誰もが笑顔で働けるよう工夫している企業を取材しました。
■取材報告~知的障害のある方の、働く現場にお邪魔しました
区内在住の山本さんが働く職場を取材。勤続20年の山本さんにこれまでの仕事でのことや、今感じていることを伺いました。
協力企業:ソニー希望・光(株)…161人の障害のある方が在勤(9月1日現在)。オフィスの環境整備や事務、IT業務などに従事中
◇山本さん(オフィスサービス課)
社内の清掃業務を担当しています。初めは言葉で指示をされてもうまくできず、つらいと感じることも。でも、見本を示しながら理解度に合わせてサポートしてもらえたので、一人でできるようになりました。今では役員室の清掃も任せてもらっています。
仕事の合間にする同僚との会話や休日の旅行が、良いリフレッシュになっています。
◇三池さん(社員サポート課)
今では経験を活かして、新入社員にやり方を教えてくれることも。とても頼りにしています。
◇こんな工夫がありました
・一緒に作業を確認…見本やジェスチャーを交えながら、説明をします
・カードを使って点検…指差しをしながら、丁寧に確認します(簡単な文章でまとまっています)
・身長に合わせて作られた…清掃作業用のカートマニュアルが備え付けられており、いつでも手順が確認できます
◇代表取締役社長 大庭さんからのメッセージ
当社は、障害があるからといって特別扱いせず、「プロとして」の誇りを持って仕事をすることを大切にしています。本人の実力に合わせて仕事を任命するのではなく、チャレンジしたいという意思を尊重して、仕事を任せています。
「障害のある方はできないことが多い」という先入観を持っている方がいるかも知れません。しかし、実際に接すると、個性があるからこそできることがあるということに気が付きます。先入観をなくすことが、お互いの理解を深める最初の一歩です。
■職場適応援助の専門家に聞く~働く上での工夫・配慮の例
◇仕事に集中できていないみたい…
集中力が続かない人や、周囲の音に敏感な人がいます
【×】周りが気になる
・休憩はお昼休みのみ
・電話が頻繁に鳴る
・席が窓口に近い
【○】緊張しないように、リフレッシュしながら
・こまめな休憩
・周辺の音が気にならないような環境に(席を電話や窓口から離すなど)
◇安全に通勤するためには…
通勤が大変な人がいます
【×】混雑した電車が怖い
・満員電車
・事故や遅延の際、別の行き方が分からない
【○】安全な通勤ルートを一緒に考える
・通勤時間の調整
・バリアフリーで安全な駅の利用
・乗る車両や駅構内のルートも確認
◇障害についてどの程度他の社員に周知すればいいのかな…
細かな配慮が必要な人や、あまり障害を知られたくない人がいます
【×】普通に接してほしい
・勝手に詳細を共有する
・本人が望んでいない過剰な配慮をする
【○】本人の希望を優先する
・障害について、自分で伝えたいか、事前に共有していいか確認
・配慮の程度を確認
■障害のある方に聞く~働いていてうれしかったこと
・仕事や家庭のことで悩んだ時は、専門家の方に相談します。いつでも相談できる環境がありがたいです。
・コミュニケーションを取ることが苦手でしたが、積極的に話すようにして、今では会話を楽しめるようになりました。
・新しいことに不安がありましたが、自分にもできると気付き、チャレンジすることが楽しくなりました。
■区内で職場適応を援助する専門家からのメッセージ
◇大切なことは「お互いを知り、支え合おうとする気持ち」
私たち専門家は、障害のある方と企業の不安を解消する役割を担っています。その先は、お互いの努力が必須です。
「どんな方なのかな」と、個人に目を向け、興味を持ってください。相手の特性に応じた配慮や工夫をすると、その人の良さや能力を引き出すことができます。
お互いを知り、理解し、支え合おうとする気持ち、それが本人にも伝わり、コミュニケーションが円滑に進むきっかけになります。
◇障害のある方の就労、支援についての相談は
(一財)中野区障害者福祉事業団(新井2-8-13)
【電話】3388-2941【FAX】3388-2942【電子メール】info@sfj-city-nakano.or.jp
問合せ:障害者施策推進係/1階
【電話】3228-8832【FAX】3228-5660
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