■自分の未来を切り開く力を身に付けてほしい
昨年度まで区内の中学校で校長を務め、今年度より、中野区の教育長に就任した田代教育長に現代の教育現場について、話を聞きました。
現代の教育現場は、多様化する社会に対応するために大きく変化しています。子どもたちは、単に知識を詰め込むだけでなく、現代社会に必要とされるスキルを身に付けることが求められていると感じます。
今は、学校にもICTが導入され、デジタル教材などの活用が進み、子どもたちはより柔軟に学ぶことができるようになってきています。
◇校長時代に取り組んだ、ICT教育
感染症の影響により全国の学校で、2020年3月から2か月間の休校がありました。生徒たちの学びを止めないように、ICTに詳しい先生方の協力を得て、1か月で500本の動画を作成し、生徒が自宅で授業の動画を見られるようにしました。美術の授業では、先生がデッサンを描く過程を動画にするなど、普段見ることができない有益な授業になったと思います。特にうれしかったのは、学校に行きづらいと感じていた生徒が動画を視聴し、学習に取り組んでいることを知った時です。ICT教育に明るい未来を感じました。
◇ICT教育には課題もある
デジタル教材やオンライン学習は便利です。先生たちが作成した資料は先生間で簡単に共有ができて、作り変えることができます。ただ一方で、授業での先生たちの個性が消えていってしまうのではないかと感じる時があります。
ICTを駆使して綺麗な資料を作成する先生がいれば、模造紙などを使ってアナログな方法で一から資料を作成する先生もいます。どちらにおいても、子どもたちの心に残り、知識の定着につなげるためには、ICT教育においても先生たちの個性を生かした授業ができるようにしていかなければならないと感じています。
◇子どもたち自身の決断力が求められている
昔よりも子どもたちの選択肢が増えました。今は習い事もたくさんありますが、我が家では新しい習い事を始める時は、できるだけ、子どもの意思を尊重するようにしていました。ただ、子どもがたくさん習い事をやりたいと言った時は、「一つひとつと向き合えるか」を聞いていました。向き合うのが難しいと子どもが思うなら、自分の中で本当にやりたい習い事を考え、選択できるようにフォローしていました。そういう小さな選択を日頃からさせてみるのも良いのかもしれません。自分で決めたからこそ、決断力や最後までやり切る力が身に付いていくと思っています。
◇自分で考え、主体性をもってほしい
区は、子どもオンブズマンやハイティーン会議など、子どもの意見を反映した活動を推進しています。自分たちで考え、意見を言うことが、学校生活の中だけでなく学校外にも広がっていくとうれしいです。
また、子どもたちが意見を言うことと同じくらい、意見やアイデアを実現する実行力も大切です。しかし、子どもたちにそこまで求めるのは難しいでしょう。そういう時は周りの大人の力が必要です。ただ、実現できない要望も必ず出てくると思います。その時はなぜ実現できないのかを子どもたちに伝えて、その上で、実現するためにはもっとこうしなければいけないと、考えさせてあげることが大切だと思っています。そうすることで、子どもたち自身に、自分で未来を切り開く力が身に付いていくと信じています。
問合せ:教育指導担当/7階
【電話】3228-5589【FAX】3228-5679
■傍聴を
◇12月の教育委員会定例会
日時:
(1)6日
(2)13日
(3)20日
いずれも金曜日、午前10時から
会場:区役所7階教育委員会室
☆当日直接会場へ。日程は、変わる場合があります
問合せ:教育委員会係/7階
【電話】3228-5734【FAX】3228-5679
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