4月1日付けで新たに指定された区の無形文化財をご紹介します。
■江戸手描提灯(てがきちょうちん)文字入れ
種別:無形文化財(工芸技術)
所在地:神田佐久間町2-13
所有者:合資会社吉野屋商店
▽解説
白張(しらはり)提灯に手作業で文字や家紋を描く技術で、「江戸文字」という字体を用います。通常の書道では一度書いた文字を上からなぞりませんが、手描提灯は何度も塗り直しながら文字や紋の形を調えていきます。吉野屋商店は、江戸から続く技術を継承し、神田祭や靖国神社のみたままつりには、毎年多くの江戸手描提灯を製作・修復し、伝統ある区内の祭礼の開催を支えています。
[吉野屋商店]
徳川家康の関東入国とともに江戸にやってきた三河武士の末裔(えい)と伝える吉野善助を祖とし、安政元(1854)年に神田で提灯の卸問屋を創業したといわれています。現在、提灯の卸問屋は区内では吉野屋商店一軒のみです。卸業は本来、描き職人を抱える小売店に仕事を振る役割ですが、吉野屋商店では実際に描き職人を抱えており、卸業でありながら店舗で提灯の文字入れや紋描きを行っています。職人を抱える卸問屋は、都内でも吉野屋商店のみです。
問合せ:日比谷図書文化館文化財事務室
【電話】03-3502-3348
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