区では従来の現金収支を中心とした決算に加え、企業会計(発生主義・複式簿記)の手法を取り入れた財務書類を作成しています。一般会計と特別会計に、区と連携協力して行政サービスを実施する外郭団体や、特別区(東京23区)が経費負担する一部事務組合、広域連合などを合算したものが連結ベースの財務書類です。
連結貸借対照表からは、これまでに区が整備してきた資産と、将来返済しなければならない借入金などの負債や、すでに税金等で負担済みの純資産が把握できます。また、連結行政コスト計算書は、1年間に発生した資産の形成を伴わない費用から収益を差し引くことで、行政活動に対するコストを明らかにしています。
■台東区の資産・負債とコスト構造
◆特徴1
区民1人当たりの資産143万円、負債17万円
◆特徴2
区民1人当たりの行政コスト72万円
◆特徴3
土地、建物等の社会資本(有形固定資産)を将来世代が負担する割合9%
※この割合は低い方が健全ですが、社会資本(有形固定資産)は将来世代も利用するため、世代間の均衡を踏まえた負担割合が望ましいとされています。
◆連結対象
◆連結貸借対照表(5年3月31日現在)
4年度末時点において、区と関係団体が行政サービスを提供するために保有する資産と負債の一覧
※( )は前年度の額
◇連結貸借対照表からわかること
前年度に比べ、負債の大きな変動はないものの、基金等の資産が33億円増加しています。有形固定資産については、減価償却による資産価値の減少が進んでおり、引き続き、資産の維持・更新に留意する必要があります。
◇資産の主な増減要因
・有形固定資産11億円減(土地の取得や施設整備費よりも資産の除売却や減価償却の資産価値の減少が大きかったことなどによる減)
・投資その他の資産等56億円増(公共施設建設基金など特定目的基金の積み増しによる増)
・流動資産12億円減(歳入と歳出の差額である歳計現金等の減少による減)
◇負債の主な増減要因
・退職手当引当金6億円減(年度末に全職員が自己都合により退職した場合の退職手当支給見込額の減少による減)
・その他6億円増(未払金等の増加による増)
◆連結行政コスト計算書(4年4月1日~5年3月31日)
人件費や社会保障給付費などの行政サービスにかかる、区と関係団体の経常的なコス
トを、その受益者の負担額とともに表したもの
※( )は前年度の額
1.経常費用 1,692億円(1,676億円)
人件費や物件費、補助金や社会保障給付など資産形成を伴わない経常的な行政活動に要する費用
[内訳]
◇人件費 219億円(230億円)
・職員給与、報酬など
◇物件費等 361億円(321億円)
・物件費 275億円…光熱水費、物品購入費、業務委託料など
・減価償却費 57億円…一年間の償却資産価値の減少額
・維持補修費等 29億円…施設設備の原状回復のための修繕費等
◇移転費用 1,026億円(1,032億円)
・社会保障給付 339億円…社会保障制度の一環として各種法令に基づき給付する生活保護費、保険給付費など
・補助金等 665億円
・その他 22億円
◇その他の業務費用 86億円(93億円)
地方債の利子など
2.経常収益 184億円(159億円)
行政サービスの利用に応じた使用料・手数料など
3.純経常行政コスト 1,508億円(1,517億円)
経常費用から経常収益を引いた純粋な行政コスト
◇連結行政コスト計算書からわかること
前年度に比べ、経常費用が16億円、経常収益が25億円それぞれ増加した結果、純経常行政コストが9億円減少しています。
経常収益の主な増加理由は、使用料・手数料の増加を含め、経常的に発生する収益が増加したことによるものです。
経常費用と経常収益の差額である純経常行政コスト1,508億円は、税金などで賄われています。
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