■その六 真田太平記
劇作家として出発した池波正太郎は、師である長谷川伸の勧めで小説も書き始め、昭和31年に発表した初の時代小説「真田騒動」(新潮文庫)が直木賞の候補作となります。この作品は江戸時代、信州松代藩・真田家で起きたお家騒動を題材としたものでした。以後、真田家を描いた作品を次々と発表し、昭和35年に直木賞を受賞した「錯乱」も松代藩が舞台で、20作を超える〔真田もの〕を執筆しています。そしてこれら作品群の集大成といえるのが『、週刊朝日』に9年間にわたり連載した、長編「真田太平記」(新潮文庫)です。信州・上州にまたがる小さな領国を、激動の時代にまれに見る戦上手で守り抜いた、真田昌幸、信之、幸村親子の攻防を主軸に、戦国末期の様相を雄大なタッチで描いた大河小説です。物語のハイライト、真田、徳川両軍激闘の舞台となった上田城のある長野県上田市に平成10年、作品を紹介する文学館として「池波正太郎真田太平記館」が設立され、上田市の観光スポットの一つとなっています。台東区の「池波正太郎記念文庫」とは姉妹館で共同企画展示など幅広い交流があります。
問合せ:中央図書館池波正太郎記念文庫
【電話】5246-5915
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