■池波正太郎氏原作の映画に出演して
司会:天海さんは2023年に池波正太郎氏原作の映画「仕掛人・藤枝梅安」にもご出演されていますよね。服部区長はこの映画をご覧になりましたか。
区長:もちろん観ましたよ。2023年は池波正太郎生誕100年の年だったんですね。区で実施したこの映画の特別上映会、また、作品の舞台を巡るツアーや記念イベントなども本当に好評でした。
江戸時代の作品を演じられて、いかがでしたか。
天海:楽しかったですね。私たち、俳優の仕事をさせていただいていても、なかなか時代劇に当たることがないんですね。だから、思いっきり映画で時代劇をできるっていうこともすごく楽しみでしたし、共演の素晴らしい皆様と池波先生の世界を作り上げられると思ってとても楽しかった。また、悪女といいますか、悪いことに手を染めているっていうか、彼女にとっては正義なんですけど。そういう役を思いっきり演じられるっていうのはすごく楽しかったですね。ありがたいことに割と正義感あふれる役が多いので、ちょっとダークな役がとても楽しかったです。
区長:池波正太郎さんは台東区で生まれ育ち、その作品には区内のさまざまな場所が数多く舞台として登場します。同じように、台東区で育った天海さんとしては、池波正太郎作品を通して、何か共感できることはありましたか。
天海:この作品でもそうなんですけれども、池波先生の小説には美味しそうな食べ物がいっぱい出てくるじゃないですか。こういう食べ物を台東区で召し上がっていたんだって。それがちゃんと、「池波先生がお召し上がりになった食べ物です」ってまだ残っている。そういうものに触れられるって、やっぱりちょっとわくわくしますよね。
区長:台東区は、今も人々を魅了し、心に生き続けている作品を生み出した、池波氏へ名誉区民の称号を贈り、その功績を後世に継承していきます。
■今年の抱負と区民の皆様へ
司会:それでは最後に、今年の抱負と区民の皆様へメッセージをいただきたいと思います。
天海:若い頃はね、こういうことをしてみたい、どこに行ってみたい、こういう役をやってみたい、こういう作品に出てみたいっていうことを、いろいろ考えた時期もあったんですけれども。だんだん年齢が上がっていくと、とにかく毎年健康で、そして小さな幸せを大事にして。こういうお仕事をしていると、皆さんに夢を与えられるような、なんて大きなことを言ってしまうんですけど。若い頃はそう思った時期もありました。でも今は一人でも私が出た作品を見て、ああ明日も頑張ろうって思っていただくことができたら、それこそが自分の幸せだなって思うようになっている。どこかの誰かのために、どこかの誰かが楽しんでいただけたらいいなっていう気持ちを大切にして、一つひとつの作品を大事に、毎日お仕事していきたいなって思っています。
司会:続いて、区民の方へのメッセージをお願いします。
天海:私はこの台東区で生まれ育ち、台東区の情緒や台東区の文化、そして歴史に触れ、今の人間形成ができていると思っています。家族ともに親戚ともにまだまだ台東区に住んでおりまして、台東区の話はいつも聞かせていただいております。とってもすてきな人情あふれるまちだと思っているので、ぜひ皆さんお一人おひとりがこのまちをもっと活気づけるように、そしてこの台東区というまちを楽しんで住んでいただけたらいいなと思います。私もこれからはですね、台東区の魅力を少しでも世界中の皆さんに伝えられるようなお仕事ができたらいいなあなんて思っています。これからも皆さんと台東区を盛り上げていけたらいいと思っています。よろしくお願いします。
司会:では続いて服部区長お願いします。
区長:今年は大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」が放送されます。舞台の中心である本区の魅力や、今もなお引き継がれる、多彩で粋な江戸の文化を区民の皆様と再認識する絶好の機会です。その魅力を発信し、地域の活性化につなげたいと考えています。
また、今年は「台東区次世代育成支援計画(第三期)」を策定します。台東区にはお祭りや多くの行事など、お互いに支え合う地域の力があります。この力を活かし、子供・若者の成長を温かく見守るまちを実現してまいります。
本日の対談で、天海さんが生まれ育ったこの台東区を、今でも好きでいてくださることに大変感銘を受けました。「ひと」も「まち」も輝き、区民の皆様が住んでよかった、暮らしてよかったと誇りと愛着を持ち続けられるまちの実現に向けて、決意を新たにしています。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
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