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自治体の皆さまへ

新春座談会2025 あけましておめでとうございます(4)

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東京都品川区

○昨年は初の「ウェルビーイング予算」を編成 区民のウェルビーイングに貢献する
区長:品川区では「誰もが生きがいを感じ、自分らしく暮らしていける品川」の実現に向け、全国初の「ウェルビーイング『区民の幸福(しあわせ)』予算」*11を編成しました。
及川:品川区のウェルビーイング予算というのはどういうものなのですか。
区長:もともとは、日本は経済的に豊かである一方、幸福度が低いということが問題意識としてありました。そうした中で、区民の幸福度を上げていくことを主軸におき、区民の方たちの不安や不満などの「不」を解消して、未来に希望を持てる社会をつくっていく。そうした志を持って、「ウェルビーイング予算」と名付けました。
鳥取:具体的にはどのように進められたのでしょうか。
区長:一昨年(令和5年)に全区民アンケートを実施して、区民の皆さんが、「自分らしく幸せに暮らしていくために重要」と考えているけれども、実際には満足度が低い事項を抽出し、それを予算として組んでいきました。例えば、子育て家庭の負担軽減のために学用品の無償化*12に踏み切ったり、能登半島地震の発生もあり、防災の強化ということで携帯トイレを全区民に配布*13したりする施策を進めてきました。
及川:予算に「幸福(しあわせ)」という言葉が入ることは、とても素敵だなと思いました。区民の方からの反応・反響はどうでしたか。
区長:学用品や給食費の無償化について、お子さんからも「ありがとうございます」とよく声をかけていただきます。おそらくお子さんたちも親の経済的負担というのは感じていて、それを区が支援していることへの実感を持ってもらえたのだと思っています。区民の皆さんのニーズと社会の変化をタイムリーにしっかりキャッチして、お預かりしている税金を区民の皆さんの幸福(しあわせ)のために有効に使っていくというのは、非常に大事なことだと改めて思っているところです。またウェルビーイングという言葉を使ったことで、職員も品川区民の幸福度を高めていこうという意識を持つようになってきていると感じます。
鳥取:職員の方向けには、何か取り組みはされているのでしょうか。
区長:そうですね。昭和の時代には、苦手なことを克服してがんばるという考えがあったかもしれません。しかし、私が思うのは、強みや好きと思えることを活(い)かした方が一人ひとりの力をより発揮できるのではないかということなんです。それぞれの得意分野を活かし、苦手な部分はお互い補い合っていくような職場づくりを行っていきたいと考えています。公務員は区民の皆さんのために働くことが前提にはあるのですが、自分が働いていて楽しい、幸せという実感を持つことも大事だと折に触れて職員には話しています。また「人材育成基本方針」*14を定めて、区民の幸せのためにどう取り組んでいくかプロジェクトを立ち上げるなど、様々な取り組みを進めています。

○行政と民間企業が手をたずさえ、地域の社会課題を解決していく
区長:ウェルビーイングを進めていくうえで、行政と民間企業が協力して社会課題を解決し、人々の生活の質、あるいは社会の質を高めていく官民共創の取り組みは欠かせません。区民の皆さんのニーズやライフスタイルが多様化している中、行政だけで地域課題や社会課題を解決するというのには限界があると感じていまして、地域の企業の皆さんと連携しながら、お互いの強みを活かしてよりよい地域をつくっていきたいと考えています。昨年の9月には、持続可能な地域・社会づくりに取り組む事業者・団体などを会員とする「しながわSDGs共創推進プラットフォーム」*15を立ち上げました。多様な関係者同士がつながり、社会課題の共有や意見交換、官民共創プロジェクトの支援などの活動を行うことで、SDGsのさらなる推進を図るというものです。また、3月に初めて開催する「しながわシティラン2025」*16では、日本航空様、ポーラ様ともに協賛をいただきました。一緒に地域を盛り上げていただきたいと思っています。
及川:官民共創が活発になることで、区民の皆さんの輝く笑顔を見ることができるようになるとよいですね。
鳥取:日本航空では区内のお子さんに「空育(そらいく)(R)」*17を行ったり、地域のおまつりにブースを出したりと、今後も航空や移動することの楽しさを伝えることで貢献できればと思っています。もちろん、しながわシティランも盛り上げていきます。
区長:シティランの今回のコースは、しながわ区民公園をスタートして品川区の大事な歴史的資源である旧東海道から天王洲の日本航空本社前を走り、京浜運河の水辺、大井ホッケー競技場を通り、大井競馬場がゴールとなります。品川区の魅力を味わいながら走れるコースです。走る人も応援する人もみんなが一つになって盛り上がることを期待しています。
及川:ポーラもしながわシティランに参加します。しながわシティランを通して、様々なつながりができることを楽しみにしています。

*11 ウェルビーイング「区民の幸福(しあわせ)」予算
誰もが生きづらさを感じたり、選択を阻まれたりすることなく、自分の望むように生き、幸せを感じることができる社会にするため、人々の不安や不満などの「不」を解消し多様なニーズに応じた選択肢を示すものとして、品川区が令和6年度に編成した予算。
*12 学用品の無償化
子育て家庭の負担と不安を軽減し、安心して子育てができる環境を目指した施策。区立学校に通う児童・生徒を対象に、令和6(2024)年4月から所得制限のない無償化を行っている。
*13 携帯トイレを全区民に配布
災害時でも安心して避難生活を送るため、在宅避難でも使用できる携帯トイレを1人あたり20回分(約3日分)、令和6(2024)年10月から全区民に無償配布。
*14 人材育成基本方針
区民のウェルビーイング向上のために、変化の時代の区政運営において活躍できる人材を育成するべく、令和6(2024)年4月に策定した基本方針。職員が同じ方向を目指して職務にあたることができるよう、職員の共通指針である「Mission Vision Value」を新たに定めた。
*15 しながわSDGs共創推進プラットフォーム
持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取り組みの推進および地域課題や行政課題の解決に向け、多様なステークホルダー間の相互交流や情報共有を通じ、自律的取り組みを促進することを目的として設置した。
*16 しながわシティラン
「スポーツの力でつなぐ みんなの笑顔が輝くまち しながわ」を実現するため、区民がランナー、ボランティア、応援といった様々な形で参加できる、区初開催となるシティマラソン大会。
*17 空育(そらいく)(R)
JALグループが実施する次世代育成プログラムで、「飛行機を
通じて『自分』の未来を考える」、「交流を通じて『日本・世界』の未来を考える」、「環境・宇宙を通じて『地球』の未来を考える」をテーマに、空の素晴らしさに触れ、新たな発見やさらなる学びを得て、未来を考える機会を提供する体験型プログラム。

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