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くにたちの心のふるさと 東京都指定有形文化財・旧本田家住宅 復原工事に着手しました

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東京都国立市

国立市の歴史を語るうえで欠かせない「旧本田家住宅」をご存じですか?
旧本田家住宅は、江戸時代から約300年にわたり谷保に建つ、由緒ある建造物です。後世に残していくために、一度解体し、現在は復原工事を行っています。今号では、国立市民にこそ知っていてもらいたい旧本田家住宅について、ご紹介します。

■旧本田家住宅とは
(1)沿革
本田家は、鎌倉時代の武士を祖先に持ち、初代定経(さだつね)は現在の群馬県渋川市に住んでいました。二代定寛(さだひろ)は埼玉県川越市に居を移し、馬医、調馬を家業としました。家伝には、四代定之(さだゆき)が幕府に御厨方(みくりやかた)として出仕の後、寛永年間(1624年~1644年)に谷保に移住したと書かれ、現在の旧本田家住宅はその時に幕府が用意したものと伝えられています。
以降、谷保の地に根ざして代々地主・名主や地域に貢献する医者、文人書家として活躍し、地域の名望家としてくにたちを代表する名家となりました。明治初期には、多摩地域の自由民権運動で活躍、大正から昭和にかけては大学町開発に関わり、現在の文教都市くにたちの礎に貢献し、明治以降は、書家、篆刻家(てんこくか)として活動しました。

(2)文化財指定状況
指定年月日:令和2年3月16日
名称・員数:旧本田家住宅主屋、表門2棟土地付き
文化財種別:東京都指定有形文化財(建造物)
※案内図は本紙をご覧ください

■寄贈者の「願い」
旧本田家住宅の寄贈者である十六代当主本田咊夫(たかお)(萩庵(しゅうあん))氏は、市への寄贈にあたって、家屋に集う方々へのメッセージを「願い」という詩に書き記されました(本紙1面に掲載)。この家が今まで地元の方々や地方から来る方々の拠り所になってきたことを大事にしてもらいたいという想いが、この詩には込められています。創建当時から現代まで、この建物には人が住み続け、最後は先代定弘(さだお)(谷庵(こくあん))氏の妻ヤヱ氏が98歳まで住まわれました。享保(きょうほう)16年(1731年)から平成21年(2009年)まで延々と住み継がれてきた営みを、咊夫氏は大事に思われています。
谷保は歴史がある地域で、江戸時代以前から代々住んでいる方々もいます。「願い」に込められた寄贈に至る思い、地域の宝である旧本田家住宅やそこに残された江戸期からの資料群について、市が責任をもって後世に伝えていきます。
※「○庵」について:本田家では、代々「○庵」という号を当主の通称としていました。
※詩は本紙をご覧ください

■本田家旧蔵資料
本田家当主の活躍や地域の歴史をたどることのできる唯一無二の資料群は、主屋内や蔵の中に保管されていました。資料群は江戸から近現代の当主の生業(なりわい)や生活に関する民具など約7万点にのぼり、その膨大な数が一軒の住宅に残されてきたことは全国的にほとんど例がありません。
平成23年の本格的な資料調査開始から現在まで、これらの膨大な資料を分類しました。今後は後世への継承のため、基礎調査を実施(予定)し、専門的な調査研究、一般公開やこれらの資料を保管できる収蔵庫の建築をめざしています。

▽ショサイ(主屋内)
昭和34年(1959年)に改築された「ショサイ」。本田家旧蔵資料の多くがここに収められています。江戸時代から継承されている、本田家の方々の文化人としての側面を象徴する一室です。

▽「解体新書」全5巻
本田家九代随庵(ずいあん)は村医者として近隣に広く知れ渡り、十代昻斎(ごうさい)は杉田玄白と交流がありました。多摩地域の医家で杉田玄白、前野良沢等翻訳版の解体新書全巻が現存しているところは、本田家を含め3家にとどまります。

▽伝土方歳三土産
・牡丹唐獅子文染付皿(ぼたんからじしもんそめつけざら)。
・染付花卉文煎茶碗(そめつけかべんもんせんちゃわん)。
十一代覚庵(かくあん)の日記にもたびたび登場する、本田家と親戚関係にある土方歳三からの土産物と伝えられる染付皿と煎茶碗です。

■復原の方針
旧本田家住宅の間取りは、現在まで7度の大規模な改変があったと推定されています。復原後の間取りは、建造物としての価値が最も評価された2次改変期である江戸時代後期を基本とし、本田家当主の活躍の場であったショサイ機能の部屋を付加しました。そのほか、雨漏り等の住宅の傷みが激しい部分は、修理復旧することで文化財としての価値を高めます。茅葺を鉄板で覆っていた屋根は鉄板を取り払い、2次改変期の茅葺屋根(市報1面のイメージ)に戻します。また、だれもが利用できるように、スロープ設置等のバリアフリー整備を行います。
※旧本田家住宅平面図(復原後)は本紙をご覧ください

■復原の概要・道のり
※スケジュールは変更となる場合があります。

■復原後の活用
南部地域の歴史文化の発信拠点として、「まもる・ひらく・つなぐ」をテーマに活用方法を検討しています。

▽まもる
谷保の歴史を伝える旧蔵資料、建造物や周辺環境を守ります。

▽ひらく
旧本田家住宅の空間を利用した文化活動の場を提供し、「谷保のふるさと」としてだれもがふらりと立ち寄れる施設をめざします。

▽つなぐ
関連施設と観光による回遊性の向上、屋敷林や古民家の建つ昔ながらの空間に修景し、南部地域の顔として魅力を発信していきます。

※旧本田家住宅や解体・復原工事について、さらに詳しく知りたい方は、市HPをご覧ください。

問合せ:生涯学習課社会教育・文化芸術係

本紙1面のテーマに関連するSDGs(エスディージーズ):4

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