誰もが幸せに生きるため、生まれながら平等に持っている人権。一口に人権と言っても、その種類は様々です。皆さんのすぐ近くにある人権について、考えてみてください。
◆女性の人権
私たちの周りでは、性別等により役割を決めつけたりイメージを固定的に考えたりする無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)により、様々な人権問題が発生しています。女性に対するマタニティ・ハラスメント(妊娠・出産を理由とする不利益な扱い)やセクシュアル・ハラスメントなどに加え、ストーカー行為やDVなどの犯罪行為も重大な人権侵害に当たります。性別等にかかわらず、互いに尊重し合えるよう、考えていきましょう。
◆インターネットを悪用した人権侵害
インターネット上に、個人の名誉・プライバシーを侵害する書き込みや、差別を助長する表現が掲載されることがあります。特に近年は、無料通話アプリ等を使った子ども同士のいじめや、いわゆるリベンジポルノとされる画像の流出・拡散が問題になるなど、インターネットの匿名性・情報発信の容易さを悪用した人権問題が、社会に大きな影響を与えています。
個人の名誉やプライバシーを守るためには、インターネットを利用する際のルールやマナーに関する正しい理解を深めていくことが必要です。
◆ホームレスの方の人権
自立の意思がありながら、失業や家庭問題などの事情により野宿生活を余儀なくされているホームレスの方(路上生活者)がいます。偏見や差別から、ホームレスの方への嫌がらせや暴力事件などの人権侵害が発生しています。
ホームレスの方の置かれている状況や自立支援の必要性ヘの理解を深め、偏見や差別をなくすことが大切です。
◆性的指向・性自認
性的指向(恋愛・性愛の感情が、どのような対象に向かうのか、または向かわないのか)・性自認(自分の性別をどう認識しているか)などを理由とする偏見や差別を受けて、悩んでいる人がいます。性的指向・性自認は人により様々で、自分の意志で変えたり、選んだりできるものではないと言われています。性の多様性を正しく理解し、偏見や差別をなくしていきましょう。
◆外国人の人権
言語や文化、宗教、生活習慣の違いなどにより、外国人に対する偏見や差別が生まれることがあります。また、特定の民族や国籍の人々を排斥する差別的言動(ヘイトスピーチ)が社会問題となっています。私たち一人ひとりが文化等の違いや多様性を受け入れ、互いに理解し合うことが大切です。
◆子どもの人権
子どもの権利を守るための包括的な法律として、こども基本法が今年4月に施行されました。この背景には、児童虐待の相談や不登校の件数が過去最多を更新しているといった、子どもを取り巻く状況の深刻さがあります。
子どもには、どのような理由でも差別されず、命が守られ、成長を支えられる権利があります。また、年齢や発達に応じて、自分に直接関係があること(学校や職業の選択等)はもちろん、それ以外のことにも自由に意見を言う権利や、多様な社会活動(ボランティア活動等)に参加する権利もあります。また、大人は子どもの権利を尊重し、子どもの人生にとって最も善いことは何かを考え、実践していく必要があります。
私たちが子どもの権利を守るために何ができるか、改めて考えてみましょう。
◆部落差別(同和問題)
部落差別(同和問題)とは、日本社会の歴史的発展の過程で形作られた身分制度や、歴史的・社会的に形成された人々の意識に起因する差別であり、日本固有の重大な人権問題です。現在もなお、インターネット上で差別的な書き込み等があり、基本的人権を侵害されている方がいます。
平成28年に施行された部落差別解消推進法は、部落差別は許されないとの認識の下、これを解消することを目的とし、相談体制の充実、教育および啓発等の具体的施策について定めています。このような差別をなくすためにも、私たち一人ひとりがこの問題を正しく知り、理解することが大切です。
◆北朝鮮当局による人権侵害問題
これまで北朝鮮から拉致被害者数人の帰国が実現しましたが、まだ帰国できていない拉致被害者については、十分な情報が提供されておらず、安否が確認されていません。また、拉致被害者の実態が明らかになってからは、日本在住の韓国・朝鮮籍の方への嫌がらせなどの人権侵害が発生しています。
我が国の国民的課題であるこの問題について、正しい理解と認識を深めることが必要です。
◆様々な人権
今回紹介した人権以外にも、日常生活を振り返ってみると、人権を取り巻く様々な問題があります。例えば、高齢者や障害のある方、犯罪被害者とその家族の人権問題、災害時の人権問題などが挙げられます。
認識不足や偏見で相手を傷つけ、人権を侵害することがないよう、一人ひとりが人権についてより深く理解し、お互いを思いやることが重要です。
◆悩んでいる方は、今すぐご相談を!
◇各種人権相談電話
・みんなの人権110番【電話】0570-003-110
・子どもの人権110番【電話】0120-007-110
・女性の人権ホットライン【電話】0570-070-810
受け付け:月曜日から金曜日までの午前8時半から午後5時15分まで(祝日・年末年始を除く)
◇性犯罪被害相談電話(24時間対応)
・性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター【電話】#8891(はやくワンストップ)
・全国共通番号【電話】#8103(ハートさん)
◇弁護士による法律・人権相談
日時:月曜日・水曜日・金曜日午前10時から11時半まで、午後1時から4時まで(祝日・年末年始を除く)
*相談時間は30分
場所:すみだ区民相談室(区役所1階)
申込み:事前に、すみだ区民相談室【電話】03-5608-1616へ
◇外国人(がいこくじん)のための人権相談(じんけんそうだん)
相談方法(そうだんほうほう):「法務省(ほうむしょう)外国人(がいこくじん)のための人権相談(じんけんそうだん)」のページから各相談窓口(かくそうだんまどくち)へ
◇インターネット人権相談
相談方法:「法務省インターネット人権相談」のページから相談
問い合わせ:人権同和・男女共同参画課人権同和担当
【電話】03-5608-6322
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