◆みんなの暮らしに欠かせないんです!一番の役割と建設の経緯
◇教えてくれたのは…
東武タワースカイツリー株式会社
東京スカイツリータウン広報事務局
大野 なのはさん
東京スカイツリーは、高さ634メートルの世界一高い自立式電波塔です。スカイツリーといえば展望施設を思い浮かべるかもしれませんが、一番の役割は、電波塔として地上デジタル放送の電波を送信することです。では、なぜこれほどの高さが必要になったのでしょうか。それは、東京などの大都市で地上デジタル放送が始まった平成15年まで遡ります。
◇タワーの誘致と建設地の決定
地上デジタル放送を送信する際、都市部に並び立つ高さ200メートル級の超高層ビルの影響を受ける可能性があったため、東京のテレビ局6社が高さ600メートル級の新タワーの建設を必要としたのです。こうして平成15年12月に発足した「在京6社新タワー推進プロジェクト」に首都圏各地が誘致の名乗りを上げる中、墨田区も平成16年11月に誘致を表明し、東武鉄道 株式会社に協力を要請しました。そして区と地域で一丸となって誘致を行った結果、ついに平成18年3月、業平橋・押上地域に新タワーの建設が決まりました。
その理由としては、浅草などの観光地に近いこと、鉄道が多く通っていて交通の利便性があること、建設地が元は貨物列車の貨物ヤードだった場所でとても広く、タワーや周辺施設の建設が実現しやすかったこと、そして、地域の方からの後押しが大きかったことなどが考えられるそうです。
◇すみだが「タワーのあるまち」に!
こうして建設地が決まったスカイツリーは、電波塔としての役割だけでなく、にぎわいのある新しい場所を作り出すという目的から、商業施設「東京ソラマチ(R)」や水族館などのエンターテインメント施設を伴った複合施設「東京スカイツリータウン(R)」として、平成24年5月にオープンしました。
スカイツリーができたことで、押上地域にはたくさんの人が集まるようになりました。さらに、墨田区では押上地域から錦糸町や浅草などにアクセスしやすくなるように周辺の道路等を広く整備したほか、スカイツリーとしては地域と連携した盆踊り大会の開催や新成人の招待を行うなど、スカイツリーの建設が押上地域だけでなく墨田区全体の活性化にも大きな影響を与えました。
◇地域に愛されるシンボル
電波塔としての役割を第一にしながら、すみだの発展にも一役買ってきたスカイツリー。今年でオープンから12年になりますが、これからもずっと、たくさんの人に愛されるシンボルでいてほしいですね。
◆シンプルに見えて、工夫や技術がいっぱい!スカイツリーの構造
◇引き続き大野さんが教えてくれました!
華やかな姿がすっかり東京の新しいシンボルとなったスカイツリー。そのスマートな見た目とは反対に、構造は非常に丈夫で安全性の高いものになっています。
◇塔体に込められた技術と伝統美
スカイツリーの塔体の鉄骨は、三角形がいくつも組み合わさった「トラス構造」になっていて、地震などの揺れに対して強い耐久性を発揮します。この鉄骨の一番太い部分はなんと直径2.3メートルもあり、タワー全体をしっかりと支えています。
さらに、地上では三角形だった塔体の断面が上に向かって円形に変化していくことで、鉄骨が日本建築によく見られる「そり」と「むくり」という緩やかな曲線を描いています。また、塔体の色も、日本の伝統色「藍白(あいじろ)」をベースにした「スカイツリーホワイト」という色で、これらが合わさって、日本の美意識に基づいた繊細な雰囲気を生み出しています。
◇中心を貫くのは…
スカイツリーの中心を貫くのは、鉄筋コンクリート製の巨大な円筒、「心柱」です。高さは375メートルもあり、直径は8メートルにも及びます。この心柱の最大の特徴は、地上125メートルまでは塔体とつながっていますが、それより上の部分は塔体とはつながっていないことです。これにより、タワーが揺れた際には、心柱と塔体の揺れの周期の違いによってお互いの揺れを打ち消し合い、地震のときでは最大で50パーセント揺れを抑えることができます。
また、心柱の最下部は6基の大型積層ゴムで支えられていて、心柱が地面と接する部分にかかる負荷を軽減しています。
さらに、この心柱の内部には、なんとスカイツリーの避難階段が設置されています。地上450メートルにある天望回廊から1階までの段数は2,552段もあり、降りるにはおよそ1時間くらいかかるそうですよ。
◇安全性と美しさの“二刀流”!
このように、スカイツリーの構造には様々な工夫や技術が込められているため、地震等への強さと印象的な見た目を兼ね備えています。まさに安全性と美しさの“二刀流”の超高層建築物なのです。今度スカイツリーをご覧になるときは、ぜひこういった構造の部分にも注目してみてください!
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