墨田区民と小布施町民との交流をテーマに、長野県上高井郡小布施町を訪れる「都市農村交流事業」。今年度は、6年11月9日・10日に開催されました(参加者は本紙6年9月11日号等で募集)。参加した皆さんは、小布施でどんな体験・交流をし、どんな魅力に触れたのでしょうか。
今回の様子は、小布施町の広報誌「町報おぶせ」12月号でも紹介されました。
◆北信五岳(ほくしんごがく)
長野県北信地方から望む斑尾山(まだらおやま)、妙高山(みょうこうさん)、黒姫山(くろひめやま)、戸隠山(とがくしやま)、飯綱山(いいづなやま)の5つの山を総称して、北信五岳といいます。
覚え方は、右から頭文字をとって“ま・み・く・と・い”。
小布施ならではの「子どもの頃に教わること」の1つです。
◇2軒の酒蔵巡り
・松葉屋本店
(小布施町小布施778)
代表取締役 市川 博之さん
創業は江戸時代の中期で、松代藩に酒を納めていました。200年以上続く酒蔵で、明治初期に小布施に移転し、私は14代目です。
様々な地域の酒蔵を見学しましたが、そこで聞いたことを同じようにやっても、同じ味にはなりません。気候や水質などが、その地域ならではの酒を生んでいるんですね。小布施の水は、地下150メートルからくみ上げた中硬水でとても珍しく、酒の熟成に向いています。地域の特性を活(い)かしながら自分たちの酒を追求し、丁寧に造っていきたいと思っています。
・桝一市村酒造場
(小布施町小布施807)
渡辺 ちひろさん
創業は江戸時代の中期、1755年(宝暦5年)です。創業当時の蔵を、現在もそのまま酒造りに使用しています。12代当主は小布施の文化人、高井 鴻山(市村 三九郎)で、葛飾 北斎とも深い親交がありました。現在の当主である市村次夫は17代目です。桝一では、今ではとても珍しくなった木桶で酒を仕込んでいます。1つの木桶で約2,000リットル貯蔵できます。木桶仕込みは手間がかかり効率的ではありませんが、木桶ならではの独特な味わいを大切にしています。
◇花の寄せ植え
日本ハンギングバスケット協会 ハンギングバスケットマスター
桜井 信子さん
小布施でガーデニングと言えば、桜井さん。町民の皆さんが町内の街路灯に掛けるフラワーハンギングバスケットを制作する際なども、講師を務めています。
小布施では、各家庭の庭に直接植物を植えてガーデニングを楽しむことも多いですが、都心ではマンションだったり、戸建てでも庭がなかったりと、住まいの状況が異なると思いますので、今回は、リース型ハンギングバスケットへの寄せ植えを企画しました。
ハンギングバスケットは、植物の種類や装飾で、季節を感じることができます。今回は、葉牡丹、パンジー、ワイヤープランツなどを使いました。ポイントは、花だけでなく葉を入れること。立体的になり、動きが出て素敵ですよ。
◇温泉・交流会
11月9日の日没が近づく頃、「小布施温泉 あけびの湯(小布施町雁田1311)」に到着。上の集合写真は、そのときに撮影したものです。ここからは、小布施町と北信五岳を一望できます。
温泉の後は、田中 洋友副町長をはじめ、小布施まちづくり委員会や町役場の皆さんとの交流会が開催されました。小布施まちづくり委員会は、町民・議会・行政が情報を共有し議論する場、まちづくりに意欲的な方との連携の場で、様々な立場の方が委員として参加しています。
・小布施まちづくり委員会
会長 工藤 陽輔さん
私は静岡県で生まれ育ちました。会社員として勤めていましたが、食を見直すきっかけなどがあり、友人がいた小布施で農業をするために2014年(平成26年)に移住しました。小布施町は長野県にある77市町村の中でも1番小さい町で、町民の声がダイレクトに行政に届きやすく、その距離の近さや町民のまちづくりへの意識の高さに驚きました。これからも、様々な方とのつながりを大切にしながら、楽しく活動していきたいと思います。
今回、農業体験はありませんでしたが、農業に携わる者として、ぜひ一度、小布施のリンゴをその場で食べてもらい、その香りやみずみずしさを体感してほしいです。私が感じたあの感動を、皆さんにも味わってもらいたいですね。
◇そば打ち体験・昼食
・富蔵家
(小布施町上町959)
店主 丸山 実留さん
料理人として49年、そば打ち歴35年。小布施町内で数店舗を営む傍ら、本格的なそば打ち指導も行っています。
今回の体験では、収穫したばかりの長野県産のそばの実を使ったそば粉を使います。つまり「新そば」です。
新そばの実は、殻を取ると薄い緑色で、風味が強いのが特徴です。時間の経過とともに、茶色くなり風味も薄れていきますので、今がまさに旬の時期です。また、一般にそばの実の水分量は14パーセントから15パーセントですが、新そばは16パーセントくらいあります。
そばの実を石臼で挽(ひ)くと、実の中心の白い部分が最初に粉になって出て来ます。この白いそば粉を一番粉と言い、さらに挽いたものが二番粉、三番粉となります。それぞれの良さがありますが、今回使う二番粉は、そば特有の香りや風味があり、味と食感のバランスが良いそばに仕上がります。
昼食には自分で打ったそばを食べてもらいますので、良い思い出になると思います。そして、機会があったら、小布施のそば屋でも食べてみてほしいです。
問い合わせ:
都市農村交流事業…文化芸術振興課都市交流・国際担当【電話】03-5608-1459
その他…広報広聴担当【電話】03-5608-6223
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