■戦争は最大の人権侵害です
いつの時代でも和平交渉は命がけです。特に中東のアラブ諸国とイスラエルとは数千年にも及ぶ激しく厳しい戦い、そして和平への模索を続けてきました。
ちょうど30年前、イスラエルのラビン首相とパレスチナのPLOアラファト議長はパレスチナ暫定自治協定を締結し、オスロ合意が成立。1994年にノーベル平和賞を受賞するという歴史的快挙を成し遂げました。
しかし、ラビン首相は1995年、このオスロ合意を面白く思わない過激なユダヤの青年により暗殺されます。和平プロセスは暗礁に乗り上げ、現代に。
当時、ラビン首相はパレスチナへの強硬姿勢をとるタカ派でしたが、ハト派への劇的な変身に私も驚愕したことを覚えています。
その後を継いだのが、現在のネタニヤフ首相です。三度、首相に就任し、パレスチナ人が住むパレスチナ自治区ヨルダン川西岸への入植地拡大を進めるなど国際法を無視したタカ派政策を強化し、追い込まれたハマスが残虐なテロ行為に及んだともいえます。とはいえ、武力による激しい暴力は許されません。
さて、12月10日は「世界人権宣言」の日です。二度にわたる世界大戦の反省から、この宣言は生まれました。
テロや軍事的制圧は、憎悪の連鎖しか生みません。戦争は最大の人権侵害です。「世界人権宣言」の言葉を噛み締め、為政者は人々の命と尊厳を守り、未来を担う子どもたちを守ってほしい。即時停戦を心から願います。
(多摩市長 阿部裕行)
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