■桑田真澄×文京区長
▼桑田二軍監督を迎えて
司会:阿部監督に引き続き、桑田二軍監督にお越しいただきました。よろしくお願いします。
区長:今年は、一軍は阿部監督、二軍は桑田監督ということで、これまで巨人を支え続けたお二人による新しい体制にとても期待しているところですが、いかがでしょうか?
桑田二軍監督(以下、桑田):阿部監督ともコミュニケーションをしっかり取って、風通しの良いチームにしていこう、またシーズン中は色々な予測できないようなことが起こるので、二人で迅速に対応していこうという話をいつもしています。
区長:二軍は、一軍に良い選手達を送り込んだり、コンディション不良になって二軍に戻った選手を迎えたりと、色々な役割がありますが、監督として目標はどこに設定されていますか?
桑田:二軍の役割は、一軍への選手の供給、一軍待機選手の調整、若い選手達の育成、このミッションを自分の中ではトリプルミッションと言い聞かせ、しっかりとやっていきたいと考えています。
▼東京大学野球部臨時コーチとして
司会:文京区との関わりにもなってきますが、桑田監督はかつて東京大学の臨時コーチを務めて指導を行っていたそうですね。
桑田:2013・2014年の二年間、本郷のグラウンドで東大野球部の選手たちと一緒に汗を流しました。
区長:東大野球部とのきっかけは何だったのですか?
桑田:東大野球部OB会長の方と知り合う機会がありまして、ぜひ指導してもらえないかという話をいただきました。僕自身も良い経験をさせていただいたと思います。
区長:東京六大学は東都大学野球と違い入替制がなく常に六つの大学が固定している中、東大野球部は成績の上では苦労をしているということを皆さん知っていると思いますが、どのような指導を心掛けたのですか?
桑田:最初に「常識を疑おう。30年、50年、100年前に常識だとされていたことが今は非常識なことがたくさんあるよ」と話しました。他大学の野球部より実力も体格も実績も劣るので、その差を埋めるには練習量しかないと言う選手が多かったのですが、限られた時間しかないので、「たくさん練習したら上手くなるという方程式は野球界の常識とされているけど、それは当てはまらない」と話しました。彼らは勉強熱心ですから、色々な練習方法を持ってくるわけです。「これを君達全部やるのに何時間かかる?24時間かかるだろう?無理だよね。何が必要か選択し、それに集中して練習に取り組もう」とも話しました。
司会:桑田監督はその時、「野球は体力、技術と思われがちだが、考えることが大事。常識を疑い、発想を転換して、良いフォームを作ろう」とアドバイスされていたということですね。
桑田:現状把握ということでピッチャーが何キロ投げられるか計測すると、大体の選手が120キロ台だけど目標は150キロだと。120キロの選手が150キロ投げるのはなかなか大変。それよりもっと他に方法はないかということで、ピッチャーはコントロールが大事だと。コントロールだったら良くできる可能性はあるということで、コントロールを良くしたら、打者の癖や傾向を分析する能力を持っているので、それを最大限に生かして勝利に繋げられるんじゃないかと話しました。
区長:私も日頃から区の職員に、桑田監督と同じように、発想の転換だとか、選択と集中だと言っています。
▼失敗を恐れず挑戦することが大事
司会:新しいアイデアを出すことはすごく大切なことだと思いますが、桑田監督は新しいアイデアの創出についてどのように思われますか?
桑田:僕は、失敗を恐れずに、色々なことに挑戦することはすごく大事だと思って生きてきたので、これからも挑戦していきたいと思っています。選手や子ども達はなおさらです。失敗することが駄目ではなくて失敗しても良い、むしろ僕は失敗を奨励します。そこで何かを学んで、大きく成長していくからとにかく失敗しようよ、そこからが大事だという話をしています。
司会:今、挑戦という話がありましたが、現役を引退後に早稲田大学大学院生、その後は東京大学大学院研究生にもなられましたね。
区長:何かその挑戦には目的があったわけですか?
桑田:現役時代は、自分を高めるだけに集中していて、野球界ど真ん中の選手でいたわけです。でも、その周りのことは全く理解できていなかった。大学院へ行って、スポーツビジネスや組織論、財務会計、経営学、スポーツの法律とはどういうものがあるのか等、野球界の外側を学びたいという気持ちで受験し、運良く合格することができました。引退後も野球界に貢献したいという考えで、スポーツビジネスや組織のことを勉強させてもらいました。
区長:これからの時代は多分、良い選手が必ずしも良い指導者になるとは限らなくて、現場のマネジメント能力が非常に重要になってくると思います。
司会:学びの中で、今までの桑田監督の常識が覆されたことはありましたか?
桑田:僕は小学生の頃からずっと野球をやっていて、当時から問題意識がたくさんありましたが、それを再確認する学びだったと思います。プロ野球を引退してそれまでの実績や経験と、スポーツ科学を勉強することによって科学的根拠を添えて指導していきたいと思っていましたが、自分がずっと抱いていた問題は全て解決でき、間違いではなかったと再確認できたことも非常に大きかったと思います。
※対談内容は口述筆記ですが、紙面の都合上、若干の言い回し等の変更と一部省略をさせていただきました。
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