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新春対談2025(2)

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東京都文京区

■ワールドカップ
司会:宮本さんに来ていただいたからには絶対に聞きたいと思っていたのが、ワールドカップの話です。前回のカタールワールドカップの決勝戦は、世界中、およそ15億人が視聴し、注目を集める大きなイベントとなりましたが、選手としてはとんでもないプレッシャーがかかっていたのではないでしょうか?
宮本:プレッシャーはあったと思いますが、あまり感じなかったというか、それよりもそういった舞台でやりたいとか、わくわく感が大きかったですね。
ただ、2002年日韓ワールドカップの初戦ベルギー戦で初めて自分が途中出場した試合は、入ったときの空気が重たかったですね。重く感じるぐらい、体が緊張していた。それまで感じたことがなかったようなものがそこにはありました。プレーが始まったら大丈夫だったんですけど、これがワールドカップの重みなのかなと思いました。
司会:いわゆるスポーツ選手がゾーンに入るっていうのあるじゃないですか。そのときは感じられたんですか?
宮本:2戦目のロシアとの試合は、自分の中でゾーンに途中から入った感覚があって、自分と相手、ピッチの緑があって、周りは黒くて暗闇の中でやっている。お客さんの声も聞こえない、そんな中で集中してやっていたと思います。自分がゾーンに入ったのは3回ぐらいで、1回がその試合でした。
司会:グループステージを戦う中で、当時のトルシエ監督のディフェンスラインを高く設定する、フラットスリーという戦術が相手に相当研究されていて、危機的な状況に直面していたと聞きましたが?
宮本:相手も勝ちたいので弱点を探してくる。フラットスリーの戦術そのものは変えないんだけれども、ちょっと微調整しようよと。監督が言うほどオフサイドを取りに行かないけれど、こっちの方が多分うまく守れるだろう、それが日本の勝利に繋がるし、監督の評価にも繋がるので、そこが自分達のやれるところじゃないかと、選手達でお風呂の中で話して決めました。
司会:お風呂でというのは、何か気持ちがほぐれることがあるんですか?
宮本:よくみんなで露天風呂に入ったんですけど、誰かがこう思ってるけどって言い出したときに、自分もこう思うと、結構みんなの意見が一致したことがありました。
司会:そして迎えたグループリーグ2試合目のロシア戦、宮本さんご自身もこの試合をキャリアの中のベストゲームの1つに挙げられていますが、どのようなゲームだったでしょうか?
宮本:6万人以上のお客さんが横浜のスタジアムに集まってくれて、ロシアに1対0でディフェンスとしては1点を守り切るしびれる試合だったんですが、自分達の集中力が最後まで切れずに戦って、勝った瞬間は本当に大喜びでした。
区長:その時のことは覚えてる。興奮が蘇ってくる気がします。日本の初勝利ですからね。
司会:日韓大会ベスト16という成績を残し、さらに膨らんだ期待の中で臨んだドイツワールドカップでしたが、惜しくもチームの目標には届かず、グループリーグ敗退という結果を、当時はキャプテンとしてどのような思いでしたか?
宮本:選手達の力はあったと思っていますが、その力をうまく引き出せなかったところは心残りの部分がありました。振り返ると2002年に日本でやった日韓ワールドカップはホームだったので、我々はすごく守られていたんだと思うんですね。
逆に2006年のワールドカップは、ボン市内のホテルに泊まって、フロアが違うけどお客さんがいたり、ちょっと気分転換に散歩に出るとたくさん人に囲まれたり。どんなシチュエーションでも、淡々とできるような選手を集めないといけないなと。そういうことの積み重ねが、その国のサッカーの強さに繋がっていくんだなと気づかせてくれた大会でした。
区長:私は実は2006年のドイツ大会は見に行ってるんです。ドイツのカイザースラウテルンと文京区は姉妹都市ですよね。当時の煙山区長が、文京区の子ども達にワールドカップを見せてあげたい。ところが、カイザースラウテルンで日本戦が行われると決まってから、チケットを手配したのでは当然間に合わない。どんな試合でもいいから見させてあげたいという思いで訪問団を組んで、文京区の少年サッカーの子ども達を連れて行って、現地の子ども達と練習試合して、それがきっかけで文京区では、「カイザースラウテルン市長杯」という小学生の大会をいまだにやってるんです。
日本対オーストラリア戦、当時史上最強と言われたチームですよね。後半、試合終了ぎりぎりまで1対0で、リードしていたのがそこから3点を入れられたんですよね。試合はああいう負け方をするのかと思いましたが、今のお話を聞いてると、あらゆる意味で、大会の不調に繋がってしまうのが、選手だけの問題じゃなくて、色々な要素が重なり合っていたということですね。
宮本:大会に出場するのがまだ2・3回目というところで、マネジメントの経験も国として少なかったと思いますし、そこではわからなかったことが、あの大会でわかって、その後に生かされたと思います。例えば、ホテルやキャンプ地をどういうふうに選ばなきゃいけないのかというところは、その後もう一度検証して変わってきたところがあります。
司会:現在、日本代表は2026年のサッカーワールドカップ本大会に出場するため、最終予選の真っ只中ですが、今回の予選に臨んでいるメンバーや、予選の展望をお聞かせください。
宮本:現在の代表チームは9割近くの選手が海外でプレーしていますし、日常的にレベルの高いところでやっていると思います。史上最高・最強なのかと言われますけれども、それに近い、それを感じさせるような戦いぶりを去年のワールドカップ予選でもしてくれています。今年はそれ以上のパフォーマンスを見せて欲しいなと期待しています。

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