消防団とは、消防組織法に基づき市区町村に設置される消防機関です。普段はなりわいを持ちながら、火災・災害発生時には自宅や職場から駆け付け、消火活動や救助・応急救護活動を行う非常勤特別職の地方公務員として活動しています。また、地域住民への防災啓発活動・警戒活動などに常時励み、地域防災の要として重要な役割を果たしています。
杉並消防団 松尾文治
プロフィール:松尾文治(まつお・ふみはる)
杉並区生まれ。
父が区内で創業した自動車関係の会社を継いだ縁で杉並消防団第九分団に入団。現在副分団長。4人の息子も同分団で活動中。
Q:消防団に入団したきっかけを教えてください。
A:地元が杉並で、社会人になってからは他市で働いていましたが、父の会社を継ぐために戻ってきました。同業者に杉並消防団の団長(6代目)がいて、入団を勧められたことをきっかけに入りました。当時は杉並区に戻ってきたばかりで、地元とはいえ知らないことばかりでつながりもない。そんな中、団員の皆さんたちがとても親切にしてくれて、いろいろ教えてもらうこともできたし、つながりを作ることもできた。仲間たちに恵まれたことは、入団から30年間続けてこられた大きな理由だと思っています。
Q:杉並消防団では主にどのような活動をしていますか?
A:さまざまな活動がありますが、重要な行事は年5回。出初式、水防訓練、参集訓練、特別警戒パトロール、そして消防機器の操作技術を競う操法大会です。その間に、地域の各所で防災訓練があります。杉並消防団には9つの分団があり、今僕が所属し副分団長を務めているのが第九分団。同分団では、ポンプ操法を団員がきちんと身に付けられるように力を入れています。ポンプ操法の流れをしっかりと覚えておけば、もし火災現場に立たされることがあったとき、必ず役に立ちます。
Q:30年間の活動を振り返り、特に印象深い出来事は何ですか?
A:ポンプ操法を競う消防操法大会で優勝したことです。操法大会は5人1チームになって出場し、経験豊富な団員が指揮者となり、そのほか1~4番手がそれぞれに役割を担ってチーム力・操法技術を競います。幅広い世代で構成されるチームの中で、コミュニケーションをしっかり取って、練習と努力を積み重ねなければ勝てません。そんな大会に団員とチームを組んで出場し、杉並消防団の大会で優勝できたこと。そして区の代表として都の大会に出場できたことは、忘れられない思い出です。
Q:今、息子さんたちも同じ分団で活動されているそうですね。
A:4人の息子がいますが、それぞれが18歳になる年に第九分団に入団しています。彼らとチームを組んで、親子5人で操法大会に出場したときは感慨深かったですね。僕が消防団に入った時期にちょうど長男が生まれて、いつか家族で大会に出たいという夢を持っていたので。全国的にも、親子5人のチームは珍しいようです。仲間に支えられてきたのはもちろんですが、やはり消防団の活動を妻が長年支えてくれたことはとても大きいです。今、息子たちと共に活動していることを、喜んでくれています。
Q:最後に、改めて消防団への思いを聞かせてください。
A:今の課題としては、人員不足です。確かに消防団は忙しさもあるし、責任ある活動なので大変さもある。ただ、僕は若い世代に教える立場として、いつも何よりも「楽しく活動することが大切だよ」と伝えています。楽しさの中で大変さも経験するし、優しさにも触れる。僕自身も活動を楽しんでいるからこそ、これまで続けてきたと思っています。消防団は、決して目立つ存在ではないけれど、地域の安全と安心を守れる存在です。団員一人一人にそう実感してほしいし、自分自身もそのような存在であり続けたいです。
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