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【特集】「すぎなみビト」人権擁護委員(1)

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東京都杉並区



■人権とは?
人権とは、誰もが生まれながらにして持っている自分らしく幸せに生きることのできる権利のことです。
私たちの身の回りには、性別・国籍・子ども・高齢者・障害者などの理由で権利を侵害されるさまざまな人権問題があります。

■人権相談、人権に関する啓発に尽力
◇人権擁護委員になったきっかけを教えてください。
横山:和田小学校の校長を60歳で定年退職したのを機に、人権擁護委員になりました。声をかけてくれたのは、同じく教員として人権擁護委員を務めてきた先生で、自身が退任するから後継をお願いしたいということでした。私自身、かねてから人権問題には関心があり、関わる機会もありましたので引き受けることにしました。

吉橋:私は杉並区教育委員会の青少年委員を10年間務めて任期を終えたとき、横山先生と同様に、人権擁護委員の一人が退任するということで、後継として依頼が来たのがきっかけです。どんなことをするのか全く知らず、右も左も分からない状況でのスタートでした。

安部:私も弁護士の仕事をしていて、先輩弁護士から打診されたことが委員になったきっかけです。引き受けた当初は人権擁護委員という名前すら知りませんでした。職業柄、人権擁護に関わることができるのなら良い機会だと思いました。

◇人権擁護委員の活動には、どのようなものがありますか?
安部:人権擁護委員の活動の柱となっているうちの一つが「人権相談」です。人権問題に関わる相談に対応する活動で、東京法務局の電話相談、区役所の窓口での対面相談などがあります。当番制で人権擁護委員それぞれが割り振られたスケジュールで相談を受け付けます。

横山:法務局では、昨年から「LINEじんけん相談」も開設されましたね。LINEでの相談は文字で思いを伝えることから、電話や対面での相談にも増して、発する言葉に強く責任を感じています。

吉橋:委員の活動には人権相談のほか、小学生たちが人権について発表する「こどもたちの人権メッセージ発表会」や、小学生たちが種から花を育てる「人権の花運動」などのサポート、区内の学校で実施される人権教室などもあります。

◇近年の人権相談の傾向があれば教えてください。
横山:LINEでの相談が開設されたことで、中高生などの若年層からも相談が来るようになりました。進路、親や友人との関係、不登校などの悩みを多く聞きますが、話に耳を傾けていると、周りに相談できる相手がいないことが感じ取れます。要するに、最後の頼みの綱として私たちにメッセージを送ってくる子が多いのです。文字でやり取りすることの難しさはありますが、彼らの力になれるのであればLINEでの相談が開設された意味も大きいと思います。

安部:私は24年間委員を務めてきましたが、やはり昨今の傾向としてはネット上のトラブルに関する相談がとても増えたと実感しています。SNSで誹謗中傷を受けている、プライバシーを侵害されているといった悩みです。このことは、時代の流れの中で人権問題が直面した、最大の変化ではないでしょうか。

◇相談を受けたときには、基本的にどのような対応をするのでしょうか?
安部:まず相談者の話に耳を傾けること。いわゆる「傾聴」に徹するのが基本です。実は、私たちのところに来る相談のほとんどは、人権相談の時間の中で解決できることではありません。イメージとしては、100の相談があっても、明確に解決策を導けるものは3つ4つ程度です。共感や寄り添いを交えながら、ひたすら相談者さんの話に耳を傾けるというのが大切なのです。

横山:そのときに、自分の考えを押し付けないことが重要です。あくまで「一緒に考えましょう」というスタンスで話を聞きます。相談してくる人にとっては、誰かに話を聞いてもらうだけで心の重荷が軽くなるという面もあると思います。

吉橋:相談の終わりに「話したことで少しすっきりしました」「ありがとう」と言ってもらえたり、喜んでもらえたり。そんなときは話を聞いてよかったなと思います。

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