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特集 令和6年新春対談 子どもたちの心を育む本の魅力(2)

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東京都江戸川区 クリエイティブ・コモンズ

◇1万冊の本から1万通りのワクワクを
区長:ここからは角野さんの創作の原点について伺いたいと思います。角野さんは3歳から23歳まで北小岩にお住まいだったとお聞きしています。当時の思い出をお聞かせください。
角野:私の家は、江戸川の土手からさほど遠くないところにあったんです。土手は今のように護岸が整備されていなかったので、草が伸び放題でした。そういう土手を上から体を横にしてゴロゴロと何回も転げ降りて遊びました。また、その頃は学校にプールなんてありませんでしたから、夏は江戸川の川岸を囲うようによしずを張ってプールのようにしたところで水遊びをしていました。
区長:土手の草だったり、川だったり、自然そのものが遊具の代わりだったということですね。
角野:他にもザリガニを捕ったりトンボを捕ったりと、本当にアウトドアの遊びが多かったですね。
区長:江戸川区は三方を川と海に囲まれていて、水とみどり豊かなまちと言われ、子どもたちに人気の動物園や水族園もあります。そしてラムサール条約の湿地に登録された葛西海浜公園は、2万羽の野鳥が飛来します。都会にいながら鳥や魚、動物と出会え、触れ合えるのも、江戸川区の魅力の一つだと思っています。
こうした自然の環境というのは、私たちの生活に安らぎを与えてくれますし、なによりもお子さんの心を育むものでもあるんじゃないでしょうか。この自然豊かな地に魔法の文学館があるのは、本当に価値があることだと思います。
角野:本当に美しい公園ですね。今はあまりお子さん1人で散歩とか、学校帰りの寄り道とかはできないですよね。昔は寄り道なんかしているといろいろな発見があって楽しくって、そこから何か自分の好きなものを見つけたりしていたんですけど、それが少なくなっている。代わりにそういう面白さがあるのは本の中だと思うんです。これからどうなるのかなと思うような冒険が物語の中にはあると思います。それでたくさんの本を通じて新しい発見ができるこのような文学館の存在は非常に大切だと思います。
区長:ここにある1万冊の本には1万通りの発見や、1万通りのワクワクがあるということですね。本当にお子さんの心を育む大切な要素だと思うんですが、角野さんには区内の小中学校や子ども未来館で本の読み聞かせ会をしていただきました。子どもたちにとっては本当に貴重な、角野さんとの交流の場になったと感じています。子どもたちのワクワク感や想像力はやはり本の中から出てくるもので、そういったところをこれからも大事にしていければと思っているんですが。
角野:心が開放されてドキドキ、ワクワクして、また現実の世界に帰っていくっていう経験が本ではできるので、その楽しさをまず幼年童話から始めてほしいと思います。幼年童話を中心にして長い物語もある程度しっかり選書したというのは、そういった理由もあるんです。
区長:そうすると、ここに来れば宇宙にも行けるし、海の底にも潜れるし、空も飛べちゃうわけですね。
そして、今年の干支は辰です。辰は十二支の中で唯一実在しない生き物ですけれども、物語の中ではよく登場します。角野さんの物語にもよく、おばけや怪獣が登場しますが、物語の中で夢や想像力を膨らませることができるのも、本の素晴らしさの一つだと思います。

◇自分で自由に本を読んでもらうために
区長:江戸川区は平成24年から全国初の取り組みとして全ての区立小中学校に「読書科」を設置し、全国から大きな注目を集めました。今、角野さんとお話をさせていただいていると、難しい言葉じゃなくて、本当にそのまま自分が感じた喜怒哀楽というものを素直に表現できるようになるのが読書なんだと改めて感じます。
角野:自分の好きな本を自由に選んで、読みながらいろいろなことを想像して、自分の物語を本の中から作っていくような、そういうことができる本を文学館に置いています。1万冊というのはとてもたくさんの本ですが、それを図書館みたいにきれいに並べないで、科学の本も物語も図版も写真集もみんなバラバラに並べました。その中から自分で興味を持ったものを探す方が、強い力を持ってその人に何かを与えてくれると思ったからです。私は家でも本の整理が下手なんですが、探している本と違う本が見つかって、かえって面白い時もあるんですね。そんな経験をこの魔法の文学館ではしてもらいたいなと。だらしなくてそうしているわけじゃなくて、密かな狙いがあってやっていることなんです(笑)
区長:実は区立の図書館は12あるんですけれど、どの館でも1階の利用しやすい場所に児童書のコーナーを設けるようにしています。児童書だけを集めた篠崎子ども図書館もあり、区全体で蔵書が46万冊、年間でおよそ190万冊の貸し出し数があります。普段は他の図書館を利用しているお子さんもぜひここに来てもらって、違った楽しみ方をしてもらえればいいなと思っています。
角野:文学館にはなくて図書館にはある本もありますし、長い本を読んで途中で帰らなくちゃならなくなったら図書館に立ち寄ってその続きを読むこともできるし、そういう交流ができればいいですよね。
区長:そして、区立図書館では2年前から、角野さんの作品のキャラクターをデザインしたバッグを利用登録してくれた子どもたちに無料でお配りしています。大変好評で多くの子どもたちが愛用してくれています。

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