
■本区が誇る「人と人とのつながり」を受け継ぎ花のように明るいまちを未来へ
令和7年第1回江戸川区議会定例会が、2月14日から3月25日までの会期で開催されています。本会議冒頭に行われた斉藤区長の招集あいさつを紹介します。
◇阪神・淡路大震災から30年あらゆる場面を想定した備えを
はじめに、戦後初めて大都市を襲った阪神・淡路大震災の発生から、先月(1月)で30年がたちました。この間、東日本大震災や熊本地震などの震災が後を絶たず、昨年の元日には能登半島地震が発生いたしました。
いずれの被災地もその後、復旧から復興へと、少しずつ歩みが進んでいきますが、10年、20年、30年と時がたとうとも、被害を受けた方々の記憶には、いつまでも残り続けるのではないかと思います。
かくいう首都東京にも同様の可能性があり、今後、高い確率で首都直下地震が発生するといわれています。また、新型コロナウイルスのような未知の感染症が、いつの日かまた、世界的に流行するかもしれないといった懸念もあります。
そこで本区は、いざ危機に見舞われた際の被害を少しでも小さくするため、過去の経験を生かし、あらゆる場面を想定した最大限の備えをしています。突発の事態により、平穏な生活が脅かされる区民が一人でも少なくなるよう、区としてできることに全力を尽くしてまいります。
◇人口減少などのリスクに備え持続可能な江戸川区に
自然災害や感染症は、ある日突然発生し、日常生活に急激な変化をもたらすリスクです。これに対し、「将来に起こり得る人口減少」というリスクは、「静かなる有事」といわれ、気が付かないうちに徐々に進行し、いざ危機が顕在化したときには、手遅れになってしまう恐れがあります。
本区は、そうした状況に陥らないようにするため、令和3年度よりこの課題に対し、多くの方々と意見を交わしながら考えてまいりました。昨年末には、区民アンケートの結果を踏まえて決定した、「中サービス-中負担」に向けて持続可能な江戸川区を構築していくため、個々の事業の具体的な取り組みを公表したところです。
併せて、区民の皆さまの声を聴く意見募集などを実施しておりますが、私もさまざまな場で、地域や関係団体の皆さまからご意見をお伺いしています。賛同いただく声、厳しい声それぞれありますが、多くの方が将来に向けた区の取り組みに関心を寄せてくださっていると感じています。
◇区民生活を支え地域を発展させる予算編成
このたびご提示いたしました事業の中で、行政サービスの水準を見直すものや、現在の負担を一部増やすものについては、今後も引き続き、区民の皆さまや関係団体の皆さまに、時間をかけて丁寧に説明していくとともに、新規・拡充事業として力を入れていくものについては、「予算」として形にできるよう詳細なところまで詰めてまいります。いずれも、一つひとつのプロセスを経ながら、令和7年第2回の区議会定例会以降に提案させていただく考えであります。
そうした方針の下、令和7年度の当初予算では、年度当初から必要な事業を中心に編成しております。とはいえ区政は、災害に強いまちづくりや、生活を支えるインフラ整備などのハード面に関するものから、福祉や子育て支援、教育、健康増進、地域コミュニティの振興、文化・スポーツの推進、区内産業の振興といったソフト面に関するものなど、多岐にわたるため、これらのあらゆる分野で、区民の皆さまや区内事業者の皆さまの営みを支え、地域を発展させていくための予算内容となっております。
◇もしもの時に備えるAIなどを活用した防災事業
それではテーマごとに、新たに実施していく事業を中心にご説明いたします。
はじめに、冒頭にお話ししました「防災」の取り組みです。
現在、船堀エリアと平井エリアで、AI火災検知システムを搭載した、防災用高所カメラが稼働しておりますが、令和7年度は新たに小岩エリアにも設置いたします。また、将来的には区内全域をカバーし、火災発生時の機動的な対応を可能とするため、東部エリアと葛西エリアへの設置も検討してまいります。
また、首都直下地震などが起こった際には、甚大な住宅被害が発生することが予想されます。そこで、発災時の膨大な住家被害調査に対応するため、区内小・中学校の屋上などに整備を進めている、約200台の防災用カメラに、画像解析AIを導入いたします。これによって、住家の被害状況を迅速に判定し、その後の罹災証明書の発行を速やかに行うことで、早期の生活再建へとつなげてまいります。
さらに、高所カメラや防災用カメラの死角となる場所などでは、協定締結企業と連携し、ドローンを活用いたします。先程の防災用カメラを設置する小・中学校などに、カメラと併せてアンテナも設置し、区独自の自営通信網を整備することで、停電時でもカメラやドローンが使用できる環境を整えてまいります。
◇日常生活を支えるインフラ整備やまちづくり
これらの防災カメラなどを活用した取り組みは、発災時に迅速かつ正確な情報収集を実現していくものですが、区民の皆さまの生活を支える「インフラ整備」も着実に進めていかなくてはなりません。
その一つに「道路」がありますが、先月(1月)末に、埼玉県八潮市で起きた大規模な道路陥没は、地下を通る下水道管が損傷したことが原因とされています。区はこの事故を受けて早速、緊急点検に着手し、安全な環境の確保に努めてまいります。
これに加え、災害に強く、都市の魅力を高めるまちづくりも併せて進めていく必要があります。
その取り組みの一つとして、再開発事業が進むJR小岩駅前の、南小岩六丁目地区において、約3千台を収容する自転車駐車場を整備し、駅周辺の安全かつ快適な都市環境を確保してまいります。
また、大規模災害の発生が切迫化する中で、復旧・復興の拠点となる新庁舎の建設に向けては、設計が最終段階を迎えており、今後も着実な進捗に努めてまいります。
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