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自治体の皆さまへ

認知症を正しく知り、気軽に交流できる場所。(1)

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東京都渋谷区

―認知症になっても自分らしく過ごせることを伝えたい。―

■しぶや区ニュース×渋谷のラジオ 渋谷のラジオで出張インタビュー
認知症の人やそのご家族、地域の人たちが交流する「オレンジカフェ」を運営する皆さんに、それぞれのカフェでの活動の様子や、取り組みに対する思いを伺いました。

・Caféマリエ、たんぽぽカフェ 中島珠子(なかじまたまこ)さん
「認知症に対する偏見をなくしたいという思いで活動をしています。」
・ハラッパーズ 宍野(ししの)ノブ子(こ)さん
「認知症の人も得意なことや好きなことを通じて輝いてほしいと思っています。」
・ふらっとカフェ 山越圭祐(やまこしけいすけ)さん
「来ていただいた人が楽しく過ごせるように努めています。」
・カフェ・つばめ 坂口直子(さかぐちなおこ)さん
「安心して過ごせるように笑顔で接することを心掛けています。」

◆多くの人に認知症について知ってもらいたい
◇「渋谷区オレンジカフェ」とは、どのような場所なのでしょうか。
中島:区内に設置されている、認知症の人やご家族、地域の人など誰もが参加でき、交流や相談ができる場です。認知症について身近な視点から学ぶミニ講話も行われています。認知症のシンボルカラーであるオレンジから「渋谷区オレンジカフェ」という名前が付けられています。当事者が外出するきっかけになったり、ストレスの軽減を図ったり、ご家族や地域の皆さんが気軽に交流したり、相談したりすることができる場所を目指しています。

◇皆さんが運営しているオレンジカフェについて、またオレンジカフェを始めたきっかけについて教えてください。
中島:西原地区にある総合ケアコミュニティ・せせらぎで、若年性認知症の当事者とそのご家族、地域の皆さんが訪れる「Café(カフェ)マリエ」を、はつらつセンター富ヶ谷で「たんぽぽカフェ」を運営しています。施設看護師をしていたころ、認知症当事者の皆さんと関わりを持つ中で、「認知症になりたくない」という偏見がたくさんあることに気付きました。そこで「認知症になっても怖くない」「認知症になってもできることはたくさんある」という正しい情報を伝えたいと思い、当事者やそのご家族のほか、地域の人たちに向けて認知症の話をする場を設けたのが取り組みの始まりです。

宍野:ケアコミュニティ・原宿の丘(以下、原宿の丘)で「ハラッパーズ」を運営しています。私の母に認知症の傾向が出始めた時、区役所で開催されていた認知症の情報交換の場に参加して、認知症に関する情報をたくさん教えていただきました。そのつながりで、原宿の丘で認知症の人たちやご家族と一緒に料理をする「ハラッパーズ」の運営に参加するようになりました。「ハラッパーズ」では、認知症の人に得意なことや好きなことをして輝いてもらいたいと考えており、みんなで食事を作り、ご飯を食べる食事会を開催しています。

山越:恵比寿社会教育館で「ふらっとカフェ」を運営しています。普段は、母が代表を務める訪問看護ステーションで仕事をしています。以前から、地域の人たちが集まれる場所をつくって、地域に貢献したいと考えていました。そんな中、地域包括支援センターからお声掛けいただいたことがきっかけで、認知症の当事者やそのご家族、地域の人たちが自由に立ち寄って交流できる「ふらっとカフェ」を立ち上げました。

坂口:つばめの里・本町東(以下、つばめの里)で「カフェ・つばめ」を運営しています。また、本町地区の見守りサポート協力員も務めています。5年前につばめの里がオープンした時に、区から「カフェスペースをつくるので、見守りサポート協力員の皆さんにも手伝ってもらえませんか」とお声掛けいただき、オレンジカフェを始めました。当事者の皆さんと接する中で感じるのは、認知症になってもその人らしさを失わずに、穏やかで安心した暮らしができるということです。

◇普段、どのような人がオレンジカフェを訪れていますか。
中島:高齢者が多いですが、子育て中の人がお子さんを連れて来てくださることもあります。オレンジカフェは認知症の当事者やそのご家族だけが訪れる場所ではなく、どなたでもご参加いただけます。認知症について多くの人に知っていただくためにも、偏見をなくすためにも、ぜひ地域の皆さんに来ていただきたいです。

◆「居場所は必ずここにある」という安心感を守り続ける
◇オレンジカフェに参加した人たちからの反響はいかがですか。
宍野:「ハラッパーズ」は、運営するスタッフ側と来てくださる人たちがフラットな立場で一緒に料理をすることがコンセプトなので、認知症の人も安全に配慮しながら、できることをやっていただくんです。すると、「自分たちで作ったものはおいしい」「すごく楽しかった」と言ってくださいます。病気や症状に対して不安がある中で、「自分でできた」という達成感や安心感があることは、ご本人にとって、とてもうれしいのではないかと思います。

◇活動の中で、皆さんが大切にしていることは何ですか。
山越:「居場所は必ずここにある」という安心感を持っていただくために、何があっても継続することです。それから、来ていただいた人が楽しく過ごせるように努めていますね。

坂口:笑顔で接することです。皆さんにとって、ここが安心できる場所になってもらえるように心掛けています。

◇活動の中で、特に印象に残っていることはありますか。
中島:ある日、参加者が「認知症になっても、大丈夫なんだよね」と言ってくださったことがありました。ずっと伝え続けていたことが伝わったのだなと感じて、とてもうれしかったですね。

山越:来てくださる人たちが知り合って仲良くなり、輪が広がっていく様子を見ると素晴らしいなと思います。認知症の当事者やご家族も参加されるので、ハードルが高いと感じる人が多いのですが、気軽に認知症について話をしている人たちを見ると、とてもうれしいですね。私は場所を提供している立場ですが、逆に皆さんからたくさんのことを勉強させてもらっています。

坂口:先日、いつも来てくださっている地域の皆さんが、認知症の当事者と同じテーブルを囲んで、とても和やかにお話ししていたんです。参加者の皆さんも楽しい場をつくることに協力してくださっているのだと感じ、みんながスタッフなのだなと改めて思いました。

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