文字サイズ
自治体の皆さまへ

渋谷の公共トイレを支える、清掃員の技と誇り。(2)

2/36

東京都渋谷区

◆映画や体験を通してトイレ清掃を知ってほしい
◇清掃の仕事にやりがいや喜びを感じる瞬間はありますか?
山崎:TTTプロジェクトが始まって、清掃員が新しいユニフォームを身に着けたり、プロジェクト自体の認知が広まったりしてきたことで、清掃中に声を掛けていただく機会が増えました。毎日ほぼ同じ時間に清掃に入るので、近隣の皆さんと顔なじみになり、最近では少し世間話をすることもあります。仕事中に話し掛けていいのか迷ってしまったという人もときどきいらっしゃいますが、「ありがとう」と言われると素直にうれしいですし、やる気が湧いてきますね。

恩田:私は遅番なので、帰宅途中の人たちとよくお会いします。「いつもきれいにしてくれてありがとう」と温かい言葉をいただくと、やはり励みになります。

渡邊:とあるタクシーの運転手さんが神宮通公園トイレに入る時に、靴底の砂をさっと落とされている様子を見掛けたことがあるんです。公共トイレをきれいに使おうという気持ちが自然と芽生えているのだなとうれしくなりましたし、これが「デザインの力」なのだと感じました。また、渋谷区観光協会と一緒に年に数回行なっている、子ども向けの清掃体験にもやりがいを感じています。子どもたちに清掃の大切さや楽しさを少しでも知ってもらいたいです。

◇12月22日には、公共トイレ清掃員の日常を描いた映画『PERFECT DAYS(パーフェクトデイズ)』が公開されます。世界的な映画監督のヴィム・ヴェンダースさんが手掛け、主演の役所広司さんは第76回カンヌ国際映画祭最優秀男優賞を受賞するなど、注目度が高まっていますね。

山崎:自分たちの仕事にスポットを当てていただき、とてもうれしいです。たくさんの人たちが映画を観て、トイレ清掃の仕事について知っていただけたらと思います。

恩田:この映画を通してトイレ清掃員への認知が広まることで、自分自身の責任感もより増していくと思います。日々勉強し、これでいいのかと常に考えながら仕事に取り組みたいです。

渡邊:役所さんは、私たちと1週間一緒に清掃の仕事をして役作りをしていただきましたが、所作がとてもきれいで驚きました。山崎さんと恩田さんにも当てはまりますが、ものを大事にしながら清掃をしていると、自然と所作がきれいになるんです。

山崎:拭き方や磨き方一つで仕上がりが全く変わってくるので、清掃において所作はとても大事です。

渡邊:私たちが大切にしている清掃の所作を、役所さんが見事に演じられていることがうれしいですし、日本人ならではの清掃に対する感覚や思いが映画を通して世界に伝わっていくことが楽しみです。

◇最後に、渋谷区の公共トイレを利用する皆さんに向けてメッセージをお願いします。
山崎:人はきれいなところは汚さないものです。清潔な公共トイレを維持することで、ごみや汚れも少しずつ減っていくと信じています。実際、近隣の皆さんがトイレの飲食ごみを片付けてくれたり、まとめてくれたりすることがあるんです。気にかけてくれる人がいてうれしいですし、その思いに応えられるような清掃をしていきたいです。

恩田:「手洗い場をさっと拭いておいたよ」と言ってくださる人もいて、とてもありがたいです。みんなで使うトイレだからこそ、ぜひ、次の人のことを考えながら、きれいに使っていただければと思います。

渡邊:“きれいのバトン”をつなげていけるのは、やはり人なんですよね。つながっていたバトンを誰かが落としてしまった時に、そのバトンを拾ってまた次の人に渡していくことが、私たち清掃員の役目だと思っています。17か所あるトイレの中から自分のお気に入りを見つけて、そのトイレを大事にすることから、ぜひ、始めてみてください。区民の皆さんと一緒に、きれいのバトンをつないでいけたらうれしいです。

≪「渋谷のラジオ」で放送中!≫
渡邊さん、恩田さん、山崎さんへのインタビューは12月19・26日に「渋谷の星」で放送します。

■「THE TOKYO TOILET」プロジェクト
本プロジェクトは、渋谷区と日本財団が平成30年に締結した「Shibuya inclusive TOILET」に関する覚書に基づき、実施されました。区民をはじめ、区を訪れる人の誰もが快適に使用できる公共トイレを共同で設置することにより、新しい公共トイレの在り方を通して、多様性社会の推進を図ることを目的としています。

■映画『PERFECT DAYS』
12月22日(金)より、TOHOシネマズシャンテほか全国ロードショー
『パリ、テキサス』『ベルリン・天使の詩』など、数々の傑作を作り続けているドイツの名匠ヴィム・ヴェンダース氏が長年リスペクトしてやまない役所広司氏を主演に迎え、渋谷の公園・公共トイレの清掃員の日々を描いた映画。世界を穏やかで温かな気持ちで包み続けている話題作です。

問合せ:広報コミュニケーション課広報係
【電話】03-3463-1287【FAX】03-5458-4920

<この記事についてアンケートにご協力ください。>

〒107-0052 東京都港区赤坂2丁目9番11号 オリックス赤坂2丁目ビル

市区町村の広報紙をネットやスマホで マイ広報紙

MENU