◇舞台を通じて、どのような変化や気付きがありましたか。
ドリアン:世の中にこんなに素晴らしい表現者、演者がたくさんいることに衝撃を受けました。障がいの有無にかかわらず、素晴らしいパフォーマンスを披露するキャストたちの姿を見ると、「私も負けていられない!」と奮い立ちます。表現者同士のプライドのぶつかり合いが、とても刺激になりますね。ほかにも、私は人と接する時にその人を肩書で見ることが少なくなりました。たとえば、以前は「ダウン症の人に対しては、当然こうしなければならない」と考えていましたが、今では「自分も相手も同じ一人の人間なのだから、人と人として向き合えばいいんだ」と思うようになりましたね。
東:「MAZEKOZE(マゼコゼ)アイランドツアー」※2の映像を作った時、実はカメラマンや照明、音声などのスタッフたちが一番戸惑っていたんです。手足に障がいのあるキャスト、聴覚や視覚に障がいのあるキャスト、あるいはダウン症や自閉症のキャストたちと関わることが初めてだったからです。最初は「義足を外した生足を撮っていいのですか」「自閉症の人に普通に話し掛けてもいいですか」などと私に尋ねていました。でも、制作期間を一緒に過ごすうちに、お互いへの信頼関係が生まれてきたそうなんです。その後、スタッフたちは「街中で障がいのある人とお会いすると、何か困っていないかなと、普通に接することができるようになりました」と話していました。理解や知識よりも、一緒にいることで遠慮より配慮が大事だと気付いたのだと思います。
※2 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の公式文化プログラム「東京2020NIPPONフェスティバル」の一環として、「共生社会の実現に向けて」をテーマに製作された配信映像。東さんが企画、構成、キャスティング、演出、衣装、総指揮を担当。
◇渋谷区は「ちがいをちからに変える街。渋谷区」を基本構想の未来像として掲げています。お互いの「ちがい」を認め合ったり、考え方や価値観を尊重したりするために、普段から心掛けていることはありますか。
東:認め合うことや理解し合うことは、夫婦や親子でも難しいことだと思います。私たちはそれぞれ全く異なる環境で生きてきた人間だからです。どうしても相性が合わない人にも出会うことがありますが、無理をしてまで仲良くしなくてもいいと思います。ただ、排除しないことが大切です。一緒にいるだけでいいんですよね。
◆渋谷区が変われば、東京都が変わり、日本が変わる
◇今後、舞台などの表現活動を通してチャレンジしてみたいことはありますか。
東:「まぜこぜ一座」を東京都以外の地域で上演することです。海外でも上演したいですね。海外で評価をいただければ、日本にも大きな影響を与えることができるかもしれません。ゆくゆくは、「まぜこぜ一座」のような取り組みが必要ではなくなり、マイノリティーの表現者たちがテレビ番組などで活躍できるような社会になるといいなと思います。施しではなく、チャンスが大事だと考えています。
ドリアン:ドラァグクイーンとして、いつかミュージカルに挑戦したいです。自分の可能性を自分で決めてしまったらもったいないですから、欲張っていろいろなことをやってみたいですね。
◇6月16日に上映される映画『まつりのあとのあとのまつり〜まぜこぜ一座殺人事件〜』と、パフォーマンス公演の見どころについて教えてください。
東:今回の作品は、昨年上演した「まぜこぜ一座」の『歌雪姫と七人のこびとーず』の続編で、なんと座長である私が殺されてしまうんです。犯人はなぜ、このような事件を起こしたのか。そこを面白おかしく描いた社会派コメディーサスペンス映画です。90分間の映画上映と歌やダンスのパフォーマンスをお届けします。ご期待ください!
◇最後に、区民の皆さんに向けてメッセージをお願いします。
ドリアン:マイノリティーの人たちが生きやすい社会を目指したり、社会を変えていくために働き掛けたりすることは、自分の人生をしっかりと立脚した上で取り組まなければ持続させることはできません。まずは自分自身が幸せになることを最優先にしていただいて、そこから周囲の人たちに、愛や優しさを広げていくことが大切だと思います。皆さん、それぞれ幸せになりましょうね。
東:渋谷区が変われば、東京都が変わる。東京都が変われば、日本が変わると思っています。でも、どのように動けばいいか分からないという人は多いのではないでしょうか。渋谷区民の皆さんには特製の手拭いをプレゼントさせていただく特典もありますので、まずは6月16日のイベントにいらっしゃって、「まぜこぜの社会」を体感してください。ぜひ、この機会に私たちとつながっていただければと思います。社会は必ず変わります。
≪「渋谷のラジオ」で放送中!≫
東さん、ドリアンさんへのインタビューは4月16・23・30日に「渋谷の星」で放送します。
■『まつりのあとのあとのまつり〜まぜこぜ一座殺人事件〜』公演情報
社会派コメディーサスペンス映画『まつりのあとのあとのまつり〜まぜこぜ一座殺人事件〜』の上映と、歌とダンスのパフォーマンス公演。会場ロビーでは写真展とGet in touch展を開催します。
日時:6月16日(日)17:00映画上映開始(16:00開場)
場所:LINE CUBE SHIBUYA(宇田川町1-1)
定員:1階1,062席、2階 412席(合計1474席)
料金:1階席6,000円、2階席5,000円(子ども、障がい者、同行介助者は半額料金)
申し込み:デジタルチケット販売サイト「LivePocket-Ticket-」で
問合せ:広報コミュニケーション課広報係
【電話】03-3463-1287【【FAX】】03-5458-4920
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