◆「私」を主語にジェンダー平等を考えてほしい
◇ジェンダー平等でLGBTQフレンドリーなキャンパス※2をつくるために、どのような取り組みが必要だと思いますか?
川﨑:限られた学生だけでなく、全ての学生がこうしたキャンパスづくりに関わっているという当事者意識を育めるような企画や雰囲気づくりが必要だと思います。私自身も以前は服装やメイク、体型などのジェンダーバイアス※3にとらわれてモヤモヤしたり、それを無意識に誰かに押し付けてしまったりしていたことがありました。しかし、ジェンダー平等について学ぶ中でそうしたモヤモヤに名前がつき、“個”としての視点を得られ、とても生きやすくなったと感じます。自分の生活や人生の栄養となる学びが得られるので、多くの学生に関心を持ってもらいたいです。
呉:私も生まれ育った環境の中で男尊女卑に対するモヤモヤを抱えてきましたが、ジェンダー平等を学ぶ中で視野が広がり、とても勉強になっています。ただ一方で、キャンパス内ではまだジェンダー平等の考えが浸透していないようにも感じています。ジェンダー平等や性の多様性が全ての学生の教養となるように、大学側には引き続き理解を深める場を設けてもらいたいです。個人にできることは限られていますが、一緒に声を上げてくれる人が集まって、みんなで考えていけたら、環境は変えられると思います。
杉原:「大学を動かすのは学生の力」とよく言われますが、学生たちの真っすぐな姿勢は大学の教職員をはじめ、周囲の大人をも巻き込む力を持っていると思います。そんな学生たちに大学の未来を託したいと思いますし、私たちも全力でサポートしたいと考えています。
下村:学生は今の大学に足りないものを教えてくれる存在です。キャンパスをより良い環境にしていくために、教職員として学生をリードしながら、一緒に頑張っていきたいです。
※2 ジェンダーやセクシュアリティーに起因する悩み事がなく、誰もが自分らしく過ごせる環境や制度が学内に整っていること
※3 性別に対する社会の思い込みや偏見
◇学生の皆さんや区民の皆さんにメッセージをお願いします。
杉原:学生の皆さんは、ぜひ、一緒に力を合わせて、一人一人の“個”が認められる居心地の良いキャンパスや社会をつくっていきましょう。区民の皆さんには、学生たちの取り組みをぜひ、温かく見守って、応援していただけたらうれしいです。グローバル共生研究所では、区民の皆さんも参加できるイベントを開催しています。いろいろな立場の人と交流することで、学生の学びもより深まると思いますので、参加をお待ちしています。
下村:ジェンダー研究センターは学生の皆さんにとって気軽に頼れる存在でありたいと思っています。また、学生にとって身近なコミュニティーである渋谷区とも連携し、教育機関として何ができるかを考えていきたいです。当センターのライブラリーにある本は誰でも自由に閲覧できますし、さまざまな公開イベントも企画していますので、区民の皆さんも、ぜひ、お気軽にお越しください。
呉:学生の皆さんも、区民の皆さんも、さまざまな不平等がある世の中で、自分の感じたモヤモヤをぜひ、大事にしてください。悩みがあるときは区や大学のジェンダー関連施設で相談するのもいいと思います。一人で我慢せず、みんなで一つになって生きていきましょう!
川﨑:ジェンダー課題は「日本は」「世界は」といった大きな主語で語られがちです。そうした視点も必要ですが、多くの人が自分自身の生活や人生と地続きであるという当事者意識を持つことが大切だと思います。「私」を主語にして、みんなでジェンダー平等を一緒に考えていけたらうれしいです。
≪「渋谷のラジオ」で放送中!≫
杉原さん、川﨑さん、下村さん、呉さんへのインタビューは3月4・11日に「渋谷の星」で放送します。
■「渋谷ジェンダー平等推進アワード」とは
「渋谷ジェンダー平等推進アワード」は、従来のジェンダーやセクシュアリティーの固定観念にとらわれず、誰もが過ごしやすい社会に寄与する取り組みを、着眼点・汎用(はんよう)性・魅力度などから総合的に評価し、表彰しています。こうした取り組みを周知することで、区全体でジェンダー平等を推進しています。
問合せ:渋谷インクルーシブシティセンター〈アイリス〉
【電話】03-3464-3395【FAX】03-3464-3398
問合せ:広報コミュニケーション課広報係
【電話】03-3463-1287【FAX】03-5458-4920
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