((2)の続き)
■人々の安全・安心を守り、持続可能な発展を実現する港区ならではの施策
□地域の防災力向上と感染症への備え
防災対策の羅針盤となる港区地域防災計画の修正を進めています。令和12年度までに、現在の被害想定から人的・物的被害の半減をめざします。
備蓄物資を更に充実させます。着替え等で使用可能なプライベート空間用のテントをはじめ、福祉避難所には高齢者や障害者の身体状況に配慮した非常用トイレを追加配備するなど、生活者目線に立った備えを強化します。
携帯トイレを全世帯に人数分配付するなど在宅避難に備える取組を強力に進め、区民の自助の力を高めてまいります。
また、在宅避難を支える共助の拠点として、共同住宅の防災力の強化を進めます。高層住宅の防災組織に対する資器材助成を通じ、蓄電池や上層階へ物資運搬が可能な電動階段運搬車を配備するなど、ライフラインの確保を支援してまいります。
災害時要配慮者の安否確認に要する時間を大幅に短縮するため、事前登録された電話番号に自動で一斉発信する機能とAIを組み合わせた防災システムを導入します。
ドローン等の新技術の活用検討、災害情報を迅速に提供する防災ポータルサイトの開設、災害対策本部のデジタル化など、災害対応力を一層向上させてまいります。
新たに、感染症予防計画を策定し、感染症の予防対策と患者等の人権への配慮を基本に、平時から関係機関との役割分担や連携内容を明確にします。感染症の発生やまん延時には、切れ目のない一貫した医療提供体制へ迅速に移行し、機動的な対策を講じてまいります。
□まちににぎわいを取り戻し、区内産業を育む
港区の商店街はそれぞれに特色があり、まちの個性と魅力を際立たせています。区内共通電子商品券アプリの利便性を向上させ、更なる消費喚起を行うほか、空調設備等の設置補助、SNSによる情報発信など、商店街の一層の発展のため、ニーズを捉えた支援を行ってまいります。意欲ある起業家やスタートアップに対し、創業計画書の作成や資金繰りの相談など、創業前から創業後のアフターフォローまで、産業振興センターを拠点に多面的な支援を行うことで、安定的に事業を推進・拡大できる環境を整えてまいります。
映画やテレビドラマなどのロケーションを誘致するフィルム・コミッションの取組を推進し、活用されたロケ情報や撮影シーンの映像を公開するなど、効果的なシティプロモーションにつなげてまいります。
□更なる国際化の推進
子どもたちに海外経験ができる機会をいち早く創出するため、全区立中学校で海外修学旅行を実施します。
次世代を担う港区の子どもたちが異文化に興味を持ち、世界へ大きく羽ばたいて行くための環境づくりを進めます。
港区ならではの国際性豊かな地域特性を生かし、世界で活躍できる人材の育成、大使館をはじめとする区内関係機関や団体とのネットワーク構築などを一層進め、「国際都市・港区」としての魅力を高めてまいります。
□持続可能で快適な都心環境を次世代へ引き継ぐ
区はこれまで、二酸化炭素排出量が多い建築物を対象に、排出実績や取組内容の届出を義務化するとともに、再生可能エネルギー由来の電力への切り替えを促すなど、二酸化炭素の排出削減に取り組んできました。
港区環境基本計画を改定し、令和8年度の区内の二酸化炭素排出削減目標を引き上げ、取組を強化してまいります。
区有施設においても、ゼロ・エネルギー・ビルをめざし、エネルギー効率が高い設備の導入と断熱性能の向上、太陽光発電設備等の設置を率先して進めます。区が先頭に立って取組を進めることで、まち全体の低炭素化を促進してまいります。
新橋駅周辺の繁華街において、路上にテーブル等を出して営業する店舗が顕著になっています。巡回指導業務を大幅に拡充するなど対策を更に強化し、早期の状況改善に結び付けます。
羽田空港新飛行経路の運用により、区民からは落下物や騒音等に対する不安の声が寄せられています。区は、これまでも国に対し、新飛行ルートの固定化回避に向けた検討の加速化や住民説明会の開催を求めてきました。今後も、区民の不安の払しょくに向け、国に迅速な対応を行うよう強く要請してまいります。
□デジタルの力を区政に生かす
行政手続のオンライン化やキャッシュレス化など、「港区版DX」を加速させるとともに、社会課題の解決に向けて大きな役割が期待されるAIやロボット等の新技術を実装することで、業務の効率化はもとより、新たな区民サービスの創出につなげてまいります。
■新たな時代を区民とともに歩み続ける
総合支所は区民サービスの中心として、また、多様な主体との連携による地域課題解決の拠点として、重要な役割を担い続けています。総合支所の大きな強みである区民ニーズを把握する力や現場での機動力を生かした取組を展開することで、区民の期待に応える成果を生み出してまいります。
本年夏、オリンピック・パラリンピック競技大会がパリで開催されます。港区とパリ市、両都市の連携から生まれたお台場プラージュの魅力を引き続き向上させるとともに、こうした海外都市との連携も視野に入れ、新たな施策を生み出す力を一層高めてまいります。
新型コロナウイルスの感染が拡大してから4年。私は、この困難に全身全霊で立ち向かってきました。
直面する危機を乗り越えるために不可欠なものは、これまで強い信頼関係を築き、つながりを広げてきた区民や団体、企業、全国各地域等との連携の力です。
港区の未来に向け、区の唯一無二の財産である多様な連携の力を結集し、様々な社会課題に挑戦し続け、地域における新たな価値の創出と更なる発展につなげてまいります。
戦争を知る世代が年々減少している中で、戦争の記憶を風化させず、若い世代に伝えていくことが重要です。
「忘れないだけでなく、伝え続ける」
これは、昨年、港区平和青年団に参加した高校生の言葉です。この言葉に象徴されるように、今、この時代に生きる者の使命として、命を尊び、平和を希求する想いを未来に受け継いでまいります。
幾多の困難を乗り越えて、今、私たちは新たな時代へと向かっています。
コロナ禍で培った経験を基に、これまで以上に、力強く、区民生活の細部に行き渡る施策を展開してまいります。
そして、人の力、地域の力、連携の力を推進力として、私は区政の舵取りを担い、誰もが、生まれ、育ち、暮らす喜びを感じ、いつまでも住み続けていくことができる港区を実現してまいります。
新たな時代を、区民とともに歩み続けます。
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