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■第5回 新紙幣の秘密1~新搭載の偽造防止技術~
今回から2回にわたり、新紙幣に採用されている偽造防止のための技術を紹介します。ぜひ紙幣をお手元にご用意の上、読み進めてみてください。
日本の紙幣は、製紙、デザイン・肖像画・原板の作成、そして印刷まで、全て国立印刷局が一手に行っています。詳細は門外不出の極秘技術ですが、概要だけでも興味深い工夫が盛りだくさん。その秘密を見てみましょう。
まず、今回の新紙幣に盛り込まれた最新技術をご紹介します。そのひとつが、3Dホログラム(A)。1万円札と5000円札は縦型、1000円札は四角のホログラムが貼られています。角度を変えて見てください。像が立体に見える上に、それらの絵が変わります。一番上の肖像では、顔が左右に回転し、正面だけでなく横向きの顔を見ることができます。熱と圧力をかけて貼り付けることも併せて高度な技術の結晶で、この技術の紙幣への搭載は世界初です。
次に、高精細すき入れ(B)。紙の厚みを変えることで表現する「すき入れ」という技法で作る「すかし」の新技術です。「すかし」は以前の紙幣にも使われていましたが、すかし部分をよく見てください。従来は肖像のみだったのが、今回は肖像の背景にも緻密な菱形模様が入っています。これを可能にしたのが、極細の線を表現し得る、高精細なすき入れ技術です。
*(A)(B)は本紙8面をご覧ください。
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