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絵手紙のひと 小池邦夫のうちあけ話(14)

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東京都狛江市

◆ブーム到来 NHK「趣味悠々」で人気沸騰
《NHKの教養番組「趣味悠々」の「心を贈る絵手紙入門」(1998年1月~4月放送、13回)の講師を夫婦で務める》
出演依頼がきた時には、うれしかったね。番組も知っていたし、機会があれば出たいと思っていたから。ただ、僕は人前では緊張するから本来の絵が描けない。だから、担当のディレクターに実技は妻の恭子に任せる条件で引き受けました。
30分の番組で、司会はタレントの清水由貴子さん。「果物を描く」「心に届く言葉」「巻紙にかく」といった各回のテーマに沿って、僕に送られた絵手紙仲間や有名人のはがきなどを紹介しながら、清水さんやゲストとトーク。隣のセットで恭子が清水さんに実技を手ほどきした。

《1回目から「ヘタでいい、ヘタがいい」を強調した》
実は、この前にNHKの「婦人百科」(92年3月)に出た時に、今回とは別のディレクターから「ヘタでいい、とは絶対に言わないで」と釘を刺されていた。でも、本番では夢中になって、ぽろっと言ってしまった。これが逆に受けた。以後3回にわたって出演することになると、ディレクターが豹変して「ヘタでいい、とぜひ言って」。だから、今回は堂々と僕のモットーを訴えた。
清水さんは本気で絵手紙に取り組み、伸び伸びとかき続けてくれた。スタジオの収録で、僕は絵筆を握る清水さんの隣で「いい色だ」とか、「その調子。筆が紙の上で小躍りしているね」とか励ました。回を重ねるごとに、清水さんの絵は大きくなり線は力強くなっていったね。
絵手紙の命は線にあります。筆は心の中を演奏する楽器です。心を込めてかけば、つたなくても見る人の心を動かす――。番組を通して絵手紙の根幹は伝わったと思います。

《番組は放送途中から大きな反響を呼んだ》
NHKには問い合わせが殺到し、僕も恭子も見知らぬ人から「毎週見てますよ」と声をかけられるようになった。翌年には、異例の再放送があり、テキストは50万部のベストセラーに。番組は僕のやりたいことをやりたいようにやらしてくれた。絵手紙ブームに火が付くかも、という始まる前の期待は、現実のものになりました。

◆次回は山梨県にできた僕の絵手紙美術館についてお話します。
(聞き手 元新聞記者・佐藤清孝)

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