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【特集】ウクライナの夫婦が語る平和(1)

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東京都目黒区

■息子を守りたい一心で日本への避難を決めました
2022年2月に始まったウクライナの戦争が長期化し、1年半がたとうとしています。メディアでの報道も当初と比べると減少し、遠い世界の出来事のように感じることもあるかもしれません。
平和が続いている日本にいる私たちだからこそ、ウクライナから避難された方々の言葉に耳を傾け、平和について考えてみませんか。
今号は、ウクライナから目黒区へ避難しているご夫婦に、ロシア語を学ぶ大学生が避難時の様子や平和についてお聞きしました。

◇ウクライナについて
人口は4千万人超、面積は日本の1.6倍もある国です。ロシアとの歴史的なつながりは深く、1991年に独立する前は、ソビエト連邦の共和国の1つでした。現在もロシア系の住民が2割ほど暮らし、ウクライナ語が国家語ですが、ロシア語を話す人も多くいます。
1986年に事故を起こしたチョルノービリ原子力発電所もウクライナにあります。

日本への避難民数:2,468人
目黒区への避難民数:14人7月19日現在

◇区によるウクライナ避難民への生活支援
2022年9月からふるさと納税による寄付募集を開始しました。目黒区国際交流協会を通じて、見舞金や生活支援物資の支給に活用しています。
※個人からの物品寄付は受け付けていません

見舞金・生活支援金の支給:1人10万円の見舞金や生活支援金を支給
住宅支援、生活支援:都と連携して住宅支援を実施。Wi-Fiルーターや携帯型翻訳機などの必要な生活用品を提供
通訳支援:目黒区国際交流協会の通訳ボランティアの協力で、各種手続きや買い物などの日常生活での通訳や同行支援を実施
日本語、日本文化の学習機会提供:目黒区国際交流協会が、日本語教室や生け花・茶道・弓道体験教室を実施

◇平和の壁画~つなげよう平和な未来への願い
平和の鐘や平和祈念の彫像を設置する区民センターに、壁画アーティストのミヤザキケンスケ氏と地域の子どもたちで描いた壁画です。新しい平和のシンボルとして、世界平和と明るい未来への願いが込められています。

■ウクライナから目黒区へ避難した家族
ウクライナ東部のハルキウで、当時4歳の息子とともに生活していたロマンさんとアンナさん。ロシアの軍事侵攻による砲弾から逃れるためウクライナ西側に避難し、その後、家族の保証人になった友人のいづみさんを頼りに来日し、昨年5月から区内で暮らしています。

◇セドヴォロシィ・ロマンさん
オーケストラのバイオリニストとしてハルキウ国立オペラ劇場で働いていた。現在は区のイベントなどで演奏をしている。

◇ダニロワ・アンナさん
ハルキウ国立オペラ劇場でバレリーナをしていた。現在は区内のバレエスクールでバレエを教えている。

■インタビュアー
◇髙橋英玲奈さん
アルメニア共和国出身の母と日本人の父を持ち、自身もロシア語が堪能。大学では、ロシア語のほかにロシア政治・外交などについて学んでいる。

■取材協力者
◇チウィーコワいづみさん
18歳の時、バレエを学びにロシアへ留学。ウクライナでアンナさんとともにバレリーナとして活躍していた。夫がウクライナ人。ロマン氏家族の保証人となり、目黒区へ呼び寄せた。

■この21世紀に戦争が起こるとは。そんな気持ちでした
髙橋:戦争以前、ウクライナでどのような生活を送られていましたか

ロマン:朝から晩まで演奏活動を行っていました。オーケストラの首席バイオリニストとして活躍することが目標でした。仕事、家族、家と全てがあり、とても幸せでした。

アンナ:劇場での仕事を中心に、ボディバレエ(※)の指導をしていました。仕事、そして家族と過ごす時間がありました。
※バレエをベースにした、老若男女全ての人向けのエクササイズ

髙橋:ご夫婦にとって戦争はどのように始まりましたか

ロマン:朝の4時半頃に突然爆撃が始まり、アンナは「何が起きているの」と叫んでいました。私は戦争が始まったとすぐ分かったのですが、アンナを落ち着かせるため「これは花火だよ」と言ったのを覚えています。

アンナ:最初に考えたのは「戦争が始まったのであれば、どうやって仕事に行けばいいのか」ということ。この21世紀にどうして戦争が始まったのか理解できない状況でした。

髙橋:戦争は、「まさか」だったのでしょうか。「ついに」だったのでしょうか

ロマン:上司は「まず大丈夫だと思うけれど、念のためガソリンは満タンにしておいた方がいい」と言っていましたが、2人とも劇場の公演や新作の準備など仕事に追われる毎日で、21世紀に、まさか戦争が起こるとは考えていませんでした。

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