令和6年最初のめぐろ区報は、目黒区名誉区民であり、福岡ソフトバンクホークス会長である王貞治氏(以下、王会長)と区長の対談をお届けします。ホームランの世界記録保持者で、第1回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック。野球の世界一決定戦)の優勝監督でもある王会長に、新たな年を迎え、さらに力強く前に進もうとする区民へのエールをいただきました。
■目黒区長
青木英二
「区民の皆さんにずっと住んでいただけるようベストをつくします」
目黒区原町生まれ。目黒区議会議員、東京都議会議員を経て平成16年目黒区長に就任。
■目黒区名誉区民
福岡ソフトバンクホークス取締役会長
王貞治
「目標を持って一つ一つ積み重ねる。それが大切ですね」
昭和15年生まれ。早稲田実業高校卒業後、読売ジャイアンツに入団。一本足打法の打者として活躍し、昭和52年に756本塁打で世界記録を達成、第1回国民栄誉賞を受賞。平成26年6月に目黒区名誉区民となり、同年11月には文化功労者に選ばれる。
■令和5年を振り返って
区長:あけましておめでとうごいます。新しい年のスタートに、目黒区名誉区民である王会長をお招きしました。めぐろ区報新春号には、名誉区民になられてから12年ぶりのご登場になります(本紙4面参考)。
王会長:あけましておめでとうございます。本日はよろしくお願いいたします。
区長:まずは、昨年を振り返りたいと思います。5月8日にコロナの感染症法上の位置付けが2類から5類に移ったことで、まちにもにぎわいが戻ってきました。
個人的には、大きな病気やけがなく区政にまい進できました。健康の秘訣は365日行っている朝のラジオ体操だと思っています。区長としては、今年も区民の皆さんの健康増進に、しっかり取り組んでいきます。
王会長は、昨年はどのような年でしたでしょうか。
王会長:やはり、春に行われたWBCが印象に残っています。かつてない注目を集めた大会で、大谷翔平選手をはじめ、選手たちが素晴らしい活躍をしてくれました。日本中が優勝を期待して見ていた中で、本当に優勝を勝ち取ったのはすごいことです。WBC優勝の勢いが、そのまま日本野球界にも追い風になり、シーズンを通じて大変盛り上がったと思います。
区長:メジャーリーグでも、日本の選手たちが躍動しましたね。
王会長:私が現役だった頃は、メジャーリーグでプレーすることは、まだ遠い夢でした。その後、野茂投手がパイオニアとなり、イチロー選手や松井選手らが続きました。私たちの時代は、アメリカの選手との体格差もありましたし、相手を仰ぎ見るようにプレーをしていましたが、今は大谷選手のように日本人選手の体も大きくなり、対等にプレーしています。日本とアメリカというよりも、AチームとBチームが戦っている、と純粋に見ることができます。日本人選手が一つ一つ階段を上り、野球のレベルも精神力も高くなっていったんですね。アメリカでチャレンジして大活躍してくれる日本の選手がもっと出てきてほしいです。
区長:王会長は、野球という天職に巡り合い、長く活躍され、今なお現場に立ち続けていらっしゃいます。野球との出会いを振り返るといかがでしょうか。
王会長:私はどちらかというと飽きっぽく、持続性がないんです。でも野球だけは本当に飽きない。もう80歳を超えていますが、野球をやっている時は「やはり野球人だ」と皆さんから言われます。野球との縁は幸運な巡り合いだったのでしょうね。子どもの頃、周りで野球をしている人を見て、自分も始め、続けているうちにもっとやりたい、うまくなりたいという気持ちになっていきました。高校時代は、1回でいいから行きたいと思っていた甲子園に、私は4回行けたんです。私は案外いいかげんなところがありますが、野球だけは目標を持って突き詰められた。野球との出会いに心から感謝しています。
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