■小さい頃から馬と一緒にいる時の吉越くんは凛々しかった
碑文谷公園こども動物広場 場長 立岩さん
最初の出会いは、吉越くんがすくすくのびのび園でポニー教室の団体利用に通っていた頃で、甘えん坊だなって印象でした。でも、小学生になり個人のポニー教室に通うようになってからは、自分より大きな馬に飛び乗る時などでも、できないけど、まずやってみようという一生懸命な姿が印象に残っています。パラリンピックを目指すって、本人だけでなく周りのフォローなども、とても大変だと思うのですが、吉越くんはいろいろなかたにとても感謝しているなと感じていました。そんな吉越くんだからこそ、パラリンピック出場もかなったんだと思います。
子どもの可能性やチャンスはどこにあるのか分からない。そのチャンスを大人がつぶしてしまわないように、この子は特別だとかではなく、どんな子でも公平に接することが大切なんだということを、活躍する吉越くんを見て、改めて思っています。
◇碑文谷公園ポニー教室
小・中学生を対象に、乗馬や馬の世話などを通して思いやりの気持ちを育み、集団活動での協調性などを養うことを目的に実施しています。3カ月の定期登録制の個人参加のほか、団体(中学生以下で5人以上)利用や、気軽に乗馬体験できる引き馬も実施しています。
場所:碑文谷6-9-11 碑文谷公園内
問合せ:【電話・FAX共通】3714-1548
■吉越選手Interview(インタビュー)
◇馬に乗っている時、僕は自由なんです
Q:吉越選手にとって、馬との出会いはどのようなものですか
小学生の頃は、自分は何もできない、みんなの迷惑になっているんじゃないかと悩むこともありました。でも、馬に乗っていると自然に笑顔になって、他の子と同じように乗れるとうれしくてもっと乗りたくなって、そうしていくうちにどんどん自信がついてきたんです。馬が僕を支えてくれたと思っています。
Q:パラ馬術の魅力はどのようなところですか
パラ馬術は、フィギュアスケートのような採点競技です。騎手ではなく、馬の動きを審査員が採点します。そして、パラ馬術の特徴は、障害に合わせてさまざまな道具を使って演技するところだと思います。僕の場合は足にゴムバンドを巻いて固定したり、右手に装具をつけたりします。オリンピックなどとは違った姿で競技するところは大きな魅力です。
Q:2度のパラリンピック出場を振り返って、いかがでしたか
東京大会はコロナ禍での開催でした。出場資格を取るためには馬術選手権大会で成績を出さなくてはいけないのですが、エントリーできる大会自体がなくて大変でした。
パリ大会は、会場がベルサイユ宮殿ということで、引退したヨーロッパの選手たちも出場を希望したため、競争率がとても高い中での戦いでした。ジャビーロに乗って見たベルサイユ宮殿はキラキラ光っていて、本当に美しくて。一生に一度の経験だったと思います。会場は仮設で作られていたので、大会が終わると、あっという間に池に戻されていました。
東京大会は無観客でしたが、パリ大会ではたくさんの観客の中で演技ができ、皆さんに自分の馬を見てもらえたことが何よりうれしかったです。
◇努力は夢への一歩になることを子どもたちに伝えたい
Q:今後の夢は何ですか
歩けなかった僕が馬と出会って、馬が僕の分まで一緒に歩いて、一緒に走ってくれた時、とてもうれしかった記憶が今も残っています。馬を通して、世界中に友達もできました。馬って、本当に親しみや安心感を与えてくれるんです。だから、老若男女を問わず、多くのかたに馬の素晴らしさをもっと知ってもらいたいし、馬に親しむ機会を増やしたいと思っています。そして、僕自身は、パラリンピックに10回以上連続出場したいと思っています。馬術は70歳を超えてもできるスポーツですし、僕と同じ障害のクラスで68歳のメダリストもいます。連続出場でギネス記録にも挑戦したいですね。
Q:区民の皆さん、そして子どもたちへのメッセージをお願いします
パラリンピックの応援をありがとうございました。僕は今も目黒区で暮らしていて、目黒の皆さんに支えられて、今があると思っています。
子どもたちには、たとえ困難なことがあっても、苦労した分だけきっとその努力は夢につながると信じて、頑張ってくださいと伝えたいです。これからも応援をよろしくお願いします。
問合せ:スポーツ振興課スポーツ事業係
【電話】5722-9695【FAX】5722-9754
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