■思い出の品を、銀ロウ付けでしっかりつなぎます
株式会社佐藤製作所
常務取締役
佐藤修哉(さとうしゅうや)さん
◇プロフィール
目黒区で生まれ育ち、慶應義塾大学理工学部電子工学科から大学院に進学。修了後、IT企業に就職し、平成26年、祖父が創業した佐藤製作所に入社。主に営業や広報、人事に携わる。2人の息子の子育てに奮闘中。
◇隠れた技術「銀ロウ付け」を強みに業績回復を図る
学芸大学駅の西口商店街通りにある株式会社佐藤製作所は、創業68年目を迎える金属加工の町工場。「金属の接合を売りにしている弊社の強みは、銀ロウ付けという技術です」と話すのは常務取締役の佐藤修哉さん。
「銀ロウ付けとは、銀ロウと呼ばれるロウ材(接着剤)を高温のバーナーで溶かし、金属を接合する溶接技術です。接合強度が高く気密性に優れ、美しく仕上がります。銅や鉄など種類の異なる金属の溶接も可能です」
佐藤さんは、それまで注目されていなかった銀ロウ付けを、会社の主要業務にシフトしました。「私が入社する10年ほど前から、既存顧客からの注文が減り続けていました。このままでは会社がつぶれてしまう、何かPRできる技術を探さなければ、と思った時に行きついたのが、銀ロウ付けです。魅力や特長がありながら社内で注目されていない技術だったので、前面に押し出すのは賭けでした。幸い反響があり、徐々に仕事の依頼も増えていきました」
◇若手採用で活気あふれる職場を実現
「入社当時、社員は高齢の男性だけでした。でも、会社を存続させるためには若い人が必要と考え、新卒採用に転換しました。この10年で社員の平均年齢は大きく下がり、今は約半数が20代で、女性比率も上がりました。やる気のある真面目な若手が増えて、ベテランの意識も変化したように思います。仕事を通してコミュニケーションが自然に活発化し、離職率は低く推移しています」
若手の佐々木さんと森下さんは、SNSなどの広報も担当。「自社では、誰でも工場内の業務をひととおりできるようにするという取り組みがあり、私たちも銀ロウ付けをしています」と笑顔の2人。
◇コラボで開いた新たな可能性、ものづくりへの思いも
同社は、区のふるさと納税返礼品として、雑誌コロコロコミックのメダル製作体験を提供しました。「真ちゅう製パーツを、銀ロウ付け体験する教室で、多くの子どもが参加し、今後の可能性が広がりました」と佐藤さん。
昨今、金属加工業の廃業が多く、受けられなくなった仕事を引き受けているという同社。「目指すは社会にものづくりで貢献できる、駆け込み寺のような存在です。一般のかたも、金属製品や思い出の品が壊れて、修理できず困っていたら、弊社ウェブサイトやSNSの事例を見てご相談ください」と語ってくれました。
■ひとめぐりmovie
インタビューのこぼれ話などを、区公式YouTubeチャンネル「めぐろTV」でご覧になれます。
場所:鷹番3-20-7
問合せ:区Webをご覧ください
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