■周りに感謝しながら仕事を続けていきたい
世界最高齢 101歳の薬剤師
幡本圭左(はたもとけさ)さん
◇プロフィール
大正11年生まれ。昭和17年、東京薬学専門学校女子部(現・東京薬科大学)を卒業。結婚後、昭和27年に区内に「安全薬局」を開業し、現在も週に6日働く。令和4年、世界最高齢の薬剤師としてギネスブックに認定。
◇尊敬する父のアドバイスで薬剤師に
101歳の現在も、薬剤師として働く幡本さん。実は薬剤師になろうとは思っていなかったと言います。「教師になりたいと思っていました。でも、父に相談したら薬剤師を勧められたんです」。父の言葉に背中を押され、東京薬学専門学校女子部に進学後、国家試験に合格して薬剤師に。
◇困難を乗り越え、今生きているのは運命
学校卒業後、塗料関連会社の研究室に勤めたと言う幡本さん。「当時は戦争の真っただ中。機銃掃射から逃げて家に帰るということも経験しました。でもなんとか生きて結婚し、2人の子宝にも恵まれました。ところが、主人が知人の借金の保証人になっていたことで、財産を失ってしまったんです」。そんな時、知り合いから「薬剤師なら、薬局をやったらどうか」と言われたそうです。「薬局がどんな商売なのか知らなかったのですが、知人の薬局で勉強させてもらって、30歳の時に安全薬局を開業しました」。
その後、学校の先輩に「これからは漢方の時代だから勉強しておくといいと言われ、漢方の勉強を始めました。大学研究会などでも漢方について学び、漢方を処方する薬局として再スタートしました」。
「漢方は、その人の体質や生活を把握して体を根本から改善する薬です。初めてのかたはもちろん、定期的に同じ漢方薬を購入するお客様にも、体の調子を必ず伺います。20年、30年と通ってくださっているかたもいますよ」。
◇世界最高齢の薬剤師としてギネスブックに認定
一昨年、99歳292日で世界最高齢の薬剤師としてギネスブックに認定されました。健康の秘訣(ひけつ)を尋ねると「必ず起きたらベッドの上で柔軟体操をしています。あとは、娘の作る手料理と、好きな仕事があることですかね」。
薬剤師としてうれしかったことを聞くと、「お客様から、おかげさまで元気になりました。ありがとうございました。と感謝されることです」と話します。「この仕事は神様が導いてくださったのかも。この仕事が大好きで天職だと思います」と笑う幡本さん。
「戦時中も、財産を失った時も、なんとか生きて、こんなに長生きして働かせていただいている。周囲の人にも恵まれ、感謝しています。皆さんも、自分の仕事、好きなことを一生懸命頑張って」と笑顔で語ってくれました。
■安全薬局(目黒本町2-3-5)
日時:毎週月~土曜日10:00~18:00(祝・休日を除く)
■ひとめぐりmovie
インタビューのこぼれ話などを、区公式YouTubeチャンネル「めぐろTV」でご覧になれます。
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