【メグロアソビ冒険隊】
澤村幸子(さわむらさちこ)さん
[プロフィール]
千葉県松戸市出身。大学で視覚伝達デザインを学ぶ。デザイン事務所で勤務した後、フリーランスへ転向。印刷物・ウェブデザインなどを手がける。
中村良子(なかむらりょうこ)さん
[プロフィール]
目黒区出身。イベントプロモーション会社勤務。目黒区美術館ワークショップに参加し、コミュニケーションを通じたチームでの作品制作の面白さを知る。
山本桃子(やまもとももこ)さん
[プロフィール]
目黒区出身。美術大学卒業後は都内文具メーカーにデザイナーとして勤務。子どもの頃からワークショップに通い、参加者からスタッフになる。
■全てを〝あそび〟と捉えて冒険子どもたちの前向きな挑戦を共に楽しむ存在であり続けたい
○楽しそう!みんなでやってみよう!がモットー
「自分が子どもの頃に参加して楽しかった思い出を、次の世代の子どもたちにも共有したいと思ったのが発足のきっかけです」。そう話すのは、子どもたちへ楽しさを共有するワークショップを企画する任意団体・メグロアソビ冒険隊の山本さん。同団体は、1980年代から続く目黒区美術館のワークショップを契機に2016年に誕生。以来、目黒区美術館や近隣の小学校、企業などで、子どもがアートと能動的に関われるような場を提供しています。
現在の運営メンバーは、ワークショップ参加者だった中村さんと山本さん、学生時代にワークショップ運営に携わった澤村さんの3人。「3人とも、ワークショップが楽しかった思い出が共通してあり、今度は私たちが楽しいことを提案する側になれたらいいなと思ったのが結成の動機になりました」と話す中村さん。
○子どもたちの“はじめの一歩”を後押ししたい
2024年グッドデザイン賞・2024年キッズデザイン賞を受賞した彼女たちのワークショプはとにかくユニーク。顔を真っ白に塗り、もう1人の自分に変身したり、スポンジの端材を用いて彫刻を作ったりと、自宅や学校などでは体験できないような内容になっている。その着想の原点は、3人が楽しい・面白いと思えるかの主観を大切にしていると話す。「参加者が面白いと思えるか。遊んでいる子どもたちを見た周りの人が面白がるものではなく、体験した本人自身が楽しいと感じられるかを軸にしています」と中村さん。「普段、できないこと・やったら怒られそうなこともワークショップなら“遊び”として堂々と体験ができる。ほんの少しタブーを超えた遊びができる経験が子どもにも大人にも大事だと思っています」と澤村さんが続け、「こんなことやっていいんだ!」という“はじめの一歩”を見る瞬間が好きだと話してくださいました。
○「これが好き、嫌い、楽しい、楽しくない」という感覚を大切に
アートを通して子どもたちに感じてほしいことを尋ねると、「正解はないから、どんな変なこと考えてもいいし言ってもいい、作ってもいいんだよっていうことを伝えたいです」と澤村さん。
「言葉にできなくてもいいから、何となく楽しかった、楽しくなかった、とか居心地が良かった、悪かったということを、心の中に持ってくれたらいいかな」と中村さん。
そして山本さんは、「アートと普段の生活の感覚をあえて分けて区切ることはしたくないです。普段の生活の延長にアートがあり、ワークショップで楽しんだ感覚を生かして、日々の生活も楽しんでほしいです。参加したけれど、作っていくうちに嫌になって放り投げて、何も成果物がない時もあります。でも、それで良いと思うんです。その過程で生まれた、自分がどういうものが好きで何が楽しいかという、その感覚を持ち帰ってくれたらうれしいですね」と、子どもたちが自分の感覚と出会うことを、皆さん何より大切に思っていらっしゃいました。
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