■子どもたちにとっての「素敵な大人」を目指して
俳優 安藤玉恵さん
西尾久出身で、俳優として活躍中の安藤玉恵さん。
今号では、安藤さんが荒川区で過ごした思い出や読書とのつながり、今後の抱負を紹介します。
◇略歴
西尾久のとんかつ店「どん平」の長女として生まれる。大学では演劇サークルで活動。卒業後は俳優として、連続テレビ小説『らんまん』『あまちゃん』、ドラマ『阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし』『深夜食堂』等に出演。
■私と家族を紡いだ「どん平」
荒川区に生まれ、荒川区で育ちました。実家は、昭和25年創業のとんかつ店「どん平」。両親は、お店をやりながら、幼い私をとてもかわいがってくれました。私も両親と一緒にいたかったので、自分の部屋にいるよりもお店にいる時間が長く、いつも父と母の働いている姿を見ていました。
私は読書が好きなのですが、父と一緒にお店の新聞を読んだことが、読書好きになったきっかけだと思います。「どん平」は、家族と多くの時間を過ごした大切な場所です。
■商店街が私を育ててくれた
幼いころは、よく地元の商店街で過ごしていました。商店街には、いろいろなお店があって、いつもおいしそうな匂いがして…。八百屋さんや魚屋さん、焼き鳥屋さん等、なんでもそろっていました。お店の人もみんな元気で、大きな声を出しながらお客さんを呼び込んでいましたね。
私は、そんな商店街で、お店の人たちに声をかけて回ったり、ときには相談に乗ってもらったりしていました。商店街の人たちに育ててもらったと言っても過言ではないです。
■“楽しくて”その連続の俳優業
俳優になろうと思ったのは、大学時代の演劇サークルがきっかけでした。たまたま誘われて行ってみたのですが、本当に楽しくて! サークルでは、俳優だけでなく、舞台のセット作りや舞台監督等、いろんな役割を自分たちで行っていたのですが、何もかも楽しくて、「ハマってしまった」という感じでした。
あまりにも楽しいので毎日通い続け、いつの間にか今に至るといった感じです。
よく“俳優の仕事の魅力”を聞かれるのですが、「いろんな人物になれること。そしてその人物を通して人間が知れること」だと思っています。作品を見た方から「観たよ」と言ってもらえることもうれしいですね。特にうれしいのは、私自身のことを知っているのではなく、「あの作品に出ていた人だ」とか「あの役の人でしょう」とか言ってもらえたときです。俳優として作品中の人物を演じているので、そういうふうに言ってもらえたときには、見た方の印象に残るくらい役を演じることができたんだなと思えます。
■コロナ禍では一人芝居を企画
コロナ禍で社会全体が大変だった時期には、実家の「どん平」で、「とんかつを買いに来てくれる方にお芝居を見せたら、お客さんがもっと来てくれるかな」という思いで、一人芝居を企画しました。
演目は、かつて尾久で事件を起こした人物である阿部定をテーマにした一人芝居『切断』。俳優仲間や演出家、西尾久の町会長さんをトークゲストとして招いたりして、お店のお座敷で、お芝居の後にとんかつを食べていただく、という形で行いました。
何度か開催していたら、たまたま西尾久を取材していたテレビ局の方に伝わって、広めていただけたことはラッキーでした。
■「あらかわ遊園」「ゆいの森あらかわ」が大好き
区内のスポットでは、あらかわ遊園が大好きです。子どものころに何度も遊びに行き、あらかわ遊園のプールでは、父から水泳を教わったりしました。今回、リニューアルしたあらかわ遊園にケーブルテレビの取材で初めて行きましたが、園内の雰囲気が良く、アトラクションも増えていて楽しかったです。
また、ゆいの森あらかわも大好きなスポットです。館内が明るく、いすの座り心地も良くて、のびのびと快適に過ごせるところがお気に入りです。
そういえば、実は私、ゆいの森あらかわの名称公募に応募しているんです! 残念ながら採用されませんでしたが…(笑)。でも、今となっては、「ゆいの森あらかわ」って良い名前だな、と思っています。
図書館には、出演する作品の原作や関連する本を探しに来ることが多いです。これだけ本がたくさんあるので、「あっ、あれもこれも読んでみたい」と目移りしてしまい、結果、全く違うジャンルの本を何冊も借りて帰ることも。いろいろな知識をたくさん得ることができるのでうれしいです。
<この記事についてアンケートにご協力ください。>