■その一
〔花畑のお話〕へびばし(平成元年発行)
「足立の昔話しをたずねて」
自主研究会・文/大石暢子(おおいしのぶこ)・絵
花又村(はたまたむら)(現在の花畑)と大曾根村(おおそねむら)(現在の埼玉県八潮市大曽根)の間に流れる綾瀬川をめぐるお話。
綾瀬川は大雨が降るたびにどちらかの村に大水を起こしていました。あるとき、花又村側にある将軍様の小菅御殿(現在の葛飾区小菅)を守るため、花又村の岸に頑丈な堤防が造られてしまいます。これにより、毎回大水に見舞われるようになって苦しむ大曾根村の村人たち。
ある年の大雨で大曾根村の土手から水があふれそうだというとき。大曾根村の名主である新八(しんぱち)は村の危機を救うべく、花又村の堤防を壊すために立ち上がりますが、そのもくろみもむなしく花又村の村人に見つかって殺され、綾瀬川に捨てられてしまいます。
これを知った新八の母は深い悲しみに暮れ、こう叫んで綾瀬川に身を投げたのです。
「新八よ、へびになれ」
さて、母の想いの行方は―…
表紙の絵は絵本「へびばし」で使われたもので、当時、区の児童館に勤務していた大石暢子さんが仲間と共に制作。繊細な切り絵と染め紙で作られています。
◇ちょっと小話
蛇橋は平成3年に老朽化により解体。約300メートル上流に桑袋大橋(花畑八丁目)が架けられ、橋の柵(欄干)にはこの本に出てくる絵が複数枚使われています。
区内には様々な語り伝えがあり、今もその名残が各所に見られます。今号では、絵本になっているいくつかの「不思議な物語」をご紹介します。
くわしくは本紙6・7面へ
問い合わせ先:
報道広報課 広報係【電話】03-3880-5815
中央図書館 読書活動推進係【電話】03-5813-3745
<この記事についてアンケートにご協力ください。>