令和5年は年間に4,222件
令和4年に比べて558件(約15パーセント)も増加
警視庁は2月16日、令和5年の都内刑法犯認知件数を発表した。総件数は8万9098件、前年比1万618件(約13.5パーセント)増で2年連続の増加。足立区も同様に、前年比558件(約15.2パーセント)増で、2年連続増加し「23区ワースト3位」の結果となった。
区はこれまでも、区民、町会・自治会、企業、区内4警察署等、「オール足立」で刑法犯認知件数を減らすため防犯対策に取り組んできたが、令和6年は、さらに強化していく。(足立区・報道広報課)
◆「23区で最も治安の悪い区」に逆戻りの危機
平成18年から4年連続で「23区の刑法犯認知件数ワースト1位」を記録していた足立区。「根強く残る区のマイナスイメージは、『治安の悪いまち』という印象を引きずっていると考えられる」と、足立区・シティプロモーション課は分析する。しかし、平成20年からスタートした「ビューティフル・ウィンドウズ運動(BW運動)(割れた窓ガラスを放置すると地域全体が荒廃し、犯罪も増えてしまうという「割れ窓理論」を参考に、「美しいまち」の実現で犯罪抑止を図るという区独自の運動)」により、刑法犯認知件数が劇的に減少。平成24年には、37年ぶりに刑法犯認知件数が1万件を下回り、ワースト1位の汚名を返上した。
ところが、ここにきて2年連続の増加。「元に戻るのは、あっという間。ここが踏ん張りどころ」と、足立区・危機管理課は警戒を強めている。
◇グラフ1 区内の刑法犯認知件数・体感治安 推移
平成13年
刑法犯罪認知数 年間に1万6,843件[ピーク]
平成20年
刑法犯罪認知数 年間に1万1,390件[BW運動スタート]
平成24年
刑法犯罪認知数 年間に9,141件[1万件を下回る]
令和3年
刑法犯罪認知数 年間に3,212件[戦後最少]
令和4年
刑法犯罪認知数 年間に3,664件
令和5年
刑法犯罪認知数 年間に4,223件[2年連続で増加]
◆毎年最多は自転車盗
令和5年の区の刑法犯認知件数の内訳を見ると、全体の約3割(1361件)は自転車盗。そのうち、約6割が自宅の敷地内で発生し、被害の約半数が無施錠(グラフ2)であったことから、「自宅の敷地内だから大丈夫だろう」との油断が垣間見える。また、被害者を年代別に見ると、10代から20代が全体の約半数を占めている。毎年ダントツ最多の「自転車盗」。なかでも若者が乗る自転車の盗難を減らすことが、区の刑法犯認知件数を減らす最大のポイントと言える。
◇グラフ2 刑法犯認知件数に占める自転車盗の割合(令和5年1月から12月/全4,222件)
・自転車盗1,361件(前年比プラス302件)…約32パーセント[この約半数が無施錠]
・その他(侵入窃盗、特殊詐欺(さぎ)など)2,861件…約68パーセント
令和5年刑法犯認知件数 種類別トップ3
1位:自転車盗 1,361件
2位:万引き 466件
3位:詐欺(特殊詐欺含む) 266件
◆見通しが良くても
実際に盗難被害にあったマンション駐輪場は、通りに面しており人通りもあるラック式の駐輪場である。「犯罪は、『見通しが悪く、暗い場所で起こる』などという『思い込み』がある」と、犯罪心理学の専門家は言う。
◆増加する特殊詐欺区内の年間被害額は、約2億円~1人で数百万円超えの被害も!~
預貯金詐欺やオレオレ詐欺を中心とした「特殊詐欺被害」も増加している。令和5年の区内被害総額は約2億円(全130件)で、前年比約2400万円増であった。また、パソコン画面に「セキュリティ警告」を表示し、被害者から犯人に電話をかけさせる「サポート詐欺」も増加。
「いざ自分の身の回りで起きたとき、慌ててしまい、どう行動したらよいか分からなくなってしまうのは当然。そんなときこそ、迷わず相談してほしい」と、区内4警察署は呼びかけている。
◆この悔しさを、次なる対策の力に。
令和3年に、刑法犯認知件数が戦後最少の3212件となり、区民の皆様の体感治安(治安が良いと思う気持ち)も良くなり(グラフ1)、次はいよいよ区外からの評価を上げるための対策を打つ、という段階での2年連続増加。正直、ショックです。全国的な刑法犯認知件数の増加は、「新型コロナウイルス感染症の感染状況の変化等による人流の増加が一定程度影響したとみられる(警察庁:令和5年の犯罪情勢)」との分析もありますが、「全国で同じなら、しょうがない」とはいきません。足立区の強みのひとつは、まちが一丸となって困難を乗り越える力があることだと私は思います。区民の皆様のお力を、ぜひお貸しください。
足立区長 近藤やよい
防犯フィルム等無料配布
自動通話録音機無料貸し出し
防犯物品補助制度
くわしくは本紙2面へ
問い合わせ先:足立区危機管理課 生活安全推進係
【電話】03-3880-5838
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