熱中症は最悪の場合死に至る可能性もありますが、しっかりと対策すれば防ぐことができます。今号で熱中症について正しい知識を身につけ、体調の変化に気をつけるとともに、周囲にも気を配り、熱中症による健康被害を防ぎましょう。
(グラフ)
令和5年熱中症による搬送人数(合計429人区内・月別)
1月:1人
2月:0人
3月:0人
4月:2人
5月:15人
6月:38人
7月:201人
8月:140人
9月:30人
10月:1人
11月:0人
12月:1人
◆熱中症とは
人体は、発汗や血管の拡張などの体温調節機能により異常な体温上昇を抑えることができます。しかし、水分や塩分(ナトリウム等)の不足などによって、暑さと体温調節機能とのバランスが崩れてしまうと、めまいや頭痛など様々な症状が表れます。このような状態が熱中症です。
○熱中症になりやすい環境
次記の要素が組み合わさることで、発症リスクが高くなります!
注意:屋外だけでなく、家の中でかかる「室内熱中症」も!
・気温が高い
・湿度が高い(梅雨時も要注意!)
・風が弱い
・日差しが強い
・照り返しが強い
「ペットも熱中症になります!」
暑い時期は、早朝か日が落ちてから散歩させましょう。
グラフ=令和5年熱中症による搬送人数(合計429人区内・時間帯別)
「エアコンをつけていない就寝中など、気付かないうちにかかる場合もあります!」
○発症者の半数以上! こんな人は特に注意!
・高齢者(65歳以上)
高齢になると体温調節機能が低下し、暑さやのどの渇きを感じにくくなります。
また、心臓病や糖尿病などの持病がある方は、熱中症の症状が重くなりやすい傾向もあります。
・乳幼児
汗腺の発達が未熟なため、体温のコントロールがうまくできません。顔が赤くなっていたり、汗をたくさんかいていたりするときは、すぐに涼しい場所に移動させてください。
・屋外で働く方
直射日光を長時間にわたって浴び続けると、急激に体温が上がり熱中症になる可能性が高まります。
そのほかにも、二日酔いや下痢などで体内の水分が減っている人も要注意です!
○暑さ指数と熱中症特別警戒アラート
暑さ指数とは、気温、湿度、日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境の3つを取り入れた指標です。この指数が35以上になると「熱中症特別警戒アラート」が発令されます。
特別警戒アラートが発令された際、足立区では「暑熱避難施設(クーリングシェルター)」を指定します。避難施設については、7面下に記載の「涼み処(どころ)マップ」に併記しますので、ご確認ください
◆熱中症の症状
熱中症には1度から3度の段階があり、段階によって必要な処置が異なります。右記の症状を参考に適切な処置を行いましょう。
・1度(軽症)
現場での応急処置で対応可能
立ちくらみ/筋肉痛・筋肉の硬直/手足のしびれなど
・2度(中等症)
病院への搬送が必要
頭痛/吐き気/嘔吐(おうと)/虚脱感/集中力の低下など
・3度(重症)
入院して集中治療が必要
意識障がい/けいれん/異常な高体温など
○爪を押してセルフチェック
1.手の親指の爪を逆の指でつまみます
2.つまんだ指を離したとき、白くなった爪がピンク色に戻るまで3秒以上かかる場合、脱水症を起こしている可能性があります!
つまんだ指を離して、爪の色を確認します。
◆応急処置
熱中症が疑われる際は、次記のような応急処置を行いましょう。
(1)涼しい環境に移す
クーラーが効いている室内や、難しい場合は風通しの良い日陰へ移動しましょう。
(2)水分と塩分を補給
塩分を同時に補える経口補水液やスポーツ飲料などを飲みましょう。冷たい水と塩分を含むタブレットを併せて摂ることも効果的です。
(3)脱衣と冷却
衣類をゆるめて、体内の熱を外に出します。さらに、氷のうなどで首やわきの下、太ももの付け根を冷やします。
それでも症状が改善されない場合は、医療機関へ!
○足立保健所 稲垣智一(いながきともかず)所長(医師)のコメント
熱中症は対処が遅れると、最悪の場合死に至るほか、腎臓の損傷や脳の機能障害などの重い後遺症につながります。特に高齢者は体温を調整する力が落ちているため、エアコンを使うなどしっかり予防をして、立ちくらみや軽い頭痛など「熱中症かな」と思ったときは、すぐに応急処置を行いましょう。
問い合わせ先:衛生管理係
【電話】03-3880-5891
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