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地下鉄サリン事件から30年 私たちは決して忘れない(1)

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東京都足立区 クリエイティブ・コモンズ

化学兵器のサリンを使用した、オウム真理教による無差別大量殺人事件「地下鉄サリン事件」。この事件発生から令和7年3月20日で30年が経過します。世界的にも類を見ない凶悪犯罪であり、絶対に風化させてはならない事件です。そして現在、オウム真理教の後継団体の施設が区内に存在し、区はもちろん、区民の皆さんも決して無関係ではいられません。地下鉄サリン事件やオウム真理教について考えるきっかけとして、今回の特集をご覧ください。

■オウム真理教とは
オウム真理教(代表・麻原彰晃(あさはらしょうこう)(本名・松本智津夫(まつもとちづお)元死刑囚))は、陰謀論や世紀末思想などの特異な主張展開が特徴の宗教法人(法人化は平成元年)。この思想が構成員の増加要因となり、最盛期の平成7年には構成員が約1万1,400人にのぼった。平成2年の衆議院議員総選挙で、出馬した構成員全員が落選したことを契機に、反社会的思想を強めて武装化を促進させ、松本サリン事件や地下鉄サリン事件など数々の凶悪事件を引き起こした。

■オウム真理教による主な凶悪事件
◇坂本弁護士一家殺害事件[平成元年11月4日]
午前3時ごろ、坂本堤弁護士が暮らすアパートに構成員6人が押し入り、妻と子どもを含む一家3人を殺害。その後、3人をそれぞれ別の場所に遺棄した。当時、教団の危険性にいち早く気付き、オウム真理教に入信・出家した若者の救済に取り組んでいた坂本弁護士を「教団の障害になる」という理由で、麻原が殺害を指示したことにより引き起こされた事件。

坂本堤(さかもとつつみ)弁護士(当時33歳)
東京大学法学部を卒業後、司法修習を経(へ)て昭和62年から神奈川県横浜市内の法律事務所に勤務。生前は「オウム真理教被害者の会」の一員として活動していた。

◇松本サリン事件[平成6年6月27日]
午後11時ごろ、長野県松本市内の駐車場にて、構成員らが噴霧装置と大型送風扇を用いて周辺にサリンを散布。当時、教団施設建設に関する訴訟において、麻原が激しい敵意を向けていた裁判所の裁判官を殺害する目的で、裁判所職員宿舎に向けてサリンの散布を指示したことにより引き起こされた事件。これにより、周辺住民など8人を殺害、約140人の負傷者を出した。

◇一般市民を狙った未曽有の無差別大量殺人事件
地下鉄サリン事件[平成7年3月20日]

・平成7年2月28日 公証役場事務長逮捕・監禁致死事件発生
目黒公証役場事務長を逮捕・監禁して死亡させる事件を敢行。警察が捜査を開始する中、世間ではこの事件が教団による犯行であるとの報道がなされ、麻原は教団に対する大規模な強制捜査が実施されることへの危機感を抱く。
麻原は強制捜査を阻止するため、松本サリン事件で殺傷効果が実証された猛毒ガス「サリン」を、霞ケ関駅を通る地下鉄車両内に散布するよう構成員に指示。霞ケ関駅を標的にしたのは、警視庁を含む各省庁が集中する地域にあり、そこに通勤する職員らを殺害するためであった。

・平成7年3月20日 午前8時ごろ 地下鉄サリン事件発生
通勤ラッシュの時間帯、構成員5人が、現在の東京メトロ千代田線、日比谷線および丸ノ内線を走る計5本の車両内で、サリンの入ったビニール袋を傘で突き刺して破り、散布させた。
死者:14人(令和2年に後遺症により亡くなられた方を含む)
負傷者:6,000人以上
※めまいやおう吐などの症状がみられるサリン中毒症による負傷。言語障がいや全身麻痺(まひ)などの重い後遺症を患った方もいる

・平成7年3月22日 教団に対する一斉捜査
警察は、公証役場事務長逮捕・監禁致死事件に基づいて、当時の上九一色村(山梨県)にあった教団施設25カ所の一斉捜査を実施。その結果、サリン製造が可能と思われる化学プラントが発見されたことで、地下鉄サリン事件は教団による犯行である疑いが強まった。
写真:日刊現代/アフロ

・平成7年5月16日 麻原彰晃の逮捕
早朝から全国の教団施設の捜査を実施。上九一色村の教団施設「第6サティアン」に潜む麻原を発見し逮捕した。

・平成18年9月15日 麻原彰晃の刑事裁判と死刑判決
麻原は地下鉄サリン事件等、13の事件に関与したとして殺人などの罪に問われた。平成8年4月24日から始まった麻原の刑事裁判は、10年余りの時を経て死刑が確定。また、麻原のほかに、一連の事件で起訴された構成員191人のうち12人の死刑も確定した。

・平成30年7月6日・26日 麻原彰晃らの死刑執行
7月6日に麻原を含む7人を、同月26日に残り6人の死刑を執行。教団の死刑囚全員の刑が執行された。

[サリンとは]
自然界には存在しない化学物質。無色無臭で常温では液体だが揮発性が高い。強い神経毒性を有し、呼吸だけでなく皮膚からも吸収される性質を持つ。ガスを吸収すると神経が正常に機能しなくなり、呼吸中枢が麻痺すると数分で死に至る。

■オウム真理教のその後
地下鉄サリン事件を契機に、「無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律」が成立。その後、オウム真理教は改称や内部分裂を繰り返し、現在は「Aleph(アレフ)」「ひかりの輪」「山田らの集団」の主要3団体を中心に活動を継続。いずれも麻原が団体の活動に絶対的ともいえる影響力を有するなど、依然として無差別大量殺人行為におよぶ危険体質を有しており、現在でも同法に基づく観察処分に付されている。
特にアレフは、関係施設が足立区内に3カ所存在し、区は条例を制定して対応。また、同団体はオウム真理教関連事件で甚大な被害を受けた被害者・遺族に対し、裁判所から10億円以上の賠償命令を下されているが、これに応じず滞納し続けている。

問い合わせ先:危機管理課
【電話】03-3880-5075

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