■高水山の原生林
文化財保護指導員 御手洗 望
青梅市は、昔から林業の盛んな地域として知られ、現在でも市域の6割以上を森林が占めています。これらの森林のほとんどは植林地や雑木林として利用されてきたため、原生林と呼べる場所はほとんど残っていません。環境省が作成した植生図(地上に生育している植物集団を分類して地図化したもの)では、市内で「自然植生」=原生林がまとまって残っているのは御岳山、奥の院(男具那(おぐな)ノ峰)、そして高水山に限られます(「第6〜7回 自然環境保全基礎調査」より)。いずれも、信仰の対象や宗教行事の場所として森林を保護してきた歴史がある場所です。
高水山はスギ・ヒノキなどの植林地が多く、高水山山頂の北側斜面の一角にだけ原生林が残っており、ブナ・ミズナラ・イヌシデなどの大径木(たいけいぼく)が生育する落葉広葉樹林となっています。こうした原生林の様子は、高水山の常福院から岩茸石山への登山道沿いで観察することができます。秋にはイタヤカエデやヒナウチワカエデ、アオハダなどの黄葉も楽しめます。
高水山はきちんとした登山の準備が必要ですが、青梅市の貴重な原生林を日帰りで歩くことができるコースです。
問合せ:郷土博物館
【電話】23-6859
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