■歯と健康~歴史から学ぶ口腔ケアの重要性~
医療法人社団恵昇会小沢歯科医院理事長 小澤庄二
歯は単に食事をするための道具ではなく、全身の健康を支える大切な存在です。近年、歯の健康と認知症や生活習慣病の関係が注目されています。
例えば、噛む力が弱いと脳への刺激が減り、認知機能が低下する可能性があります。また、歯周病菌がアルツハイマー型認知症の原因物質を増やすことも分かっています。歯を健康に保つことが全身の健康を守るカギといえます。
歴史に目を向けると、源頼朝の晩年も歯の健康が影響を及ぼした可能性があります。「吾妻鏡」には頼朝が歯の病気に悩まされていたと記され、これが歯周病だったのではないかと考えられています。また、頼朝の死因として糖尿病が知られていますが、実は歯周病と糖尿病には密接な関連があります。歯周病は炎症を通じて血糖値を悪化させ糖尿病を進行させる一方、糖尿病があると免疫力が低下し、歯周病が悪化しやすくなるという双方向の関係があるのです。
さらに、頼朝の死は歯周病菌が動脈硬化や脳梗塞を引き起こし落馬につながったという説や、落馬後の療養中に誤嚥(ごえん)性肺炎を発症した可能性も考えられており、これらは現代医学の視点からも興味深いテーマです。
日々の口腔ケアや定期的な歯科受診を行うことは健康寿命を延ばすうえで欠かせません。歴史から学びつつ、歯を大切にすることで心も体も健やかな生活を目指しましょう。
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