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青梅市の文化遺産98

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東京都青梅市

■有栖川宮幟仁親王御染筆「御嶽神社」社号額
市文化財保護指導員 黒田 耕

市内御岳山山頂に鎮座する武蔵御嶽神社の拝殿内には、有栖川宮第八代幟仁(たかひと)親王の揮毫(ごう)による社号額が掲げられています。有栖川宮家では家学として書道と歌道が定められていました。特に書道は霊元(れいげん)天皇の伝授に始まり、秘伝の文書が御伝授箱により代々伝えられ、「有栖川流」と尊称されました。幟仁親王は明治天皇の書道師範を務め、勅命により「五箇条の御誓文」の正本を御染筆されました。
神社の宝物殿には表に社号、裏書に「明治十五歳四月二十七日一品幟仁親王」と染筆された軸装が収蔵されており、親王の晩年の御染筆であることが窺(うかが)えます。
神社が収蔵する「幟仁親王御日記」明治15(1882)年3月27日の条には、八王子本町の和田義質(よしもと)なる人物が願い出ており、親王が「右願ノ趣上申ノ處(ところ)御聞済」とされた記述があります。和田は尊王敬神の情厚い人物で、教導職を務めていたことから御岳山との関係性ができたものと想像されます。4か月後の7月には和田が参殿し額を受領する記述があり、御礼として焼鮎一包を献上したことが残されています。
明治維新期、社会の在り方が大きく変容する中、有栖川御流は数百年変わらぬ書道を伝えていました。書は文字と共に「心」を伝えます。幟仁親王の御染筆は、変革の中にあっても御岳山が「神の山」であることを伝えています。

問合せ:郷土博物館
【電話】23-6859

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